「第2の森友問題」がくすぶっていた!? “夢の国”のおひざ元・浦安市の異常な土地取引
にもかかわらず、任期途中で市長職を辞職して県知事選にチャレンジしたのはなぜなのか……? そんな声が、浦安市民の間であがっているというのだ。
「一度、市政の人にもどって、自身の経歴をキレイにしたいと考えたのではないでしょうか?」
こう語るのは、とある浦安市議。実はかねてより、松崎氏の周囲には“夢の国”からは想像もつかない、きな臭い疑惑が浮上していたという。同じく浦安市議の水野実氏が話す。
「さかのぼること15年前には、浦安市の業務を請け負っている廃棄物処理業者から3000万円のお金が松崎氏の親族企業に流れていた問題が浮上して、3度もの不信任案が提出されました。結局、その疑惑に関して何ら説明されないままうやむやにされてしまったのですが、その後も松崎氏を巡る疑惑がいくつも浮上したのです。その最たる例が、この4月にオープンした浦安音楽ホールに関連した土地取引です。
ホールができた新浦安駅前の2000平方メートルの土地(以下、〈新浦安〉)はもともと浦安市の土地でした。この土地と、民間が所有する東西線浦安駅前の838平方メートルの土地(以下、〈浦安〉)を、市長の専決処分で2014年に等価交換したのです。市が依頼した不動産鑑定士の評価は、〈新浦安〉が6億6600万円で、〈浦安〉が5億7000万円でしたが、相続税路線価と比較すると〈新浦安〉が1.2倍、〈浦安〉は1.5倍と不当に高く見積もられていました。さらに、2010年に同じ〈新浦安〉を別の不動産鑑定士に評価してもらったことがあるのですが、そのときの評価は13億円。いくら震災による液状化現象が影響したといっても、4年で半値に下がるでしょうか? 〈新浦安〉を安く見積もり、〈浦安〉を高く見積もることで無理やり等価交換を成立させた疑いが濃厚なのです」
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この浦安市議が怒りをあらわにする理由はまだある。等価交換により民間事業者が取得した〈新浦安〉は「孫の代までお金を生み続ける“カネのなる木”」(同)なのだ。
「4月に〈新浦安〉にオープンした音楽ホールは、浦安市が30年間に渡って1日127万円もの賃貸・運営費を支払う契約となっています。30年間で138億円も支払う計算です。それも、30億円の建設費のうち20億円を市が負担している。民間事業者はたった10億円の負担で、向こう30年間で138億円ものお金を市からもらえるんです。当然、市が建設費の3分の2を負担しているので、30年経ったら契約を打ち切り……とはいかないでしょう。市の予算で改善費用を拠出して、さらに30年間の契約を結ぶ可能性が高い。
一方で、市が等価交換で取得した〈浦安〉はその周辺の土地取得交渉が進まず、放置されたまま。単なる自転車置き場と化しています。浦安市と市民は何一つ、この土地取引の恩恵を被っていないんです。こんな民間事業者ばかりが得する契約ってあるでしょうか? 正直、“森友学園問題”などよりもはるかに異常な土地取引です」(水野市議)
実は、この土地の“不等価交換”は浦安市議会でもたびたび議論されてきた。2014年には「浦安市職員措置請求に係る監査」も実施されたが、その監査の結果はその不動産鑑定の経緯から鑑定評価額も含めて「妥当だった」と結論づけている。一度、決着したはずの問題が再び議論の的となっている背景には1つの理由がある。
「新たに市長に選出された内田悦嗣氏は、この土地取引に関して百条委員会を設置してもいいと話しているんです。このほかにも松崎氏の側近で市の委託で障害者の就業支援を行っている人物を巡る問題や、公民館等の改修工事に松崎氏の息子が勤める会社がたびたび浮上している問題などもあります。内田市長のもとで、隠された浦安市の膿が明るみなる可能性は高いでしょう」(別の浦安市議)
余談だが、その“側近”は常々、松崎氏のことを「殿」と呼んでいたとか。殿さまから市井の人に戻った松崎氏は市議会の追及をいかに乗り切るのか……? ジェットコースター以上にスリリングな展開が予想される。
取材・文/池垣完(本誌)
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