ヤクザにとって、休刊した『実話ドキュメント』は「塀の中で読む本」だった
ヤクザ雑誌として、広く業界の内外にその名を知らしめた『実話ドキュメント』が3月末に休刊となった。では、“本職”の方々はこの雑誌をどのように見ていたのだろうか。獄中生活12年、元山口組系暴力団の二次団体で最高幹部を務めた作家の沖田臥竜氏にヤクザと『実話ドキュメント』について話を聞いた。
「『実ドキュ』(実話ドキュメント)は(刑務所の)中で読む本ってイメージが強いですね。でも、六代目襲名とか分裂の裏側なんていう大局的な話はそこまで興味なくて、やっぱり実ドキュと言えば『一通の手紙 塀の中のあの人へ…』と『拘置所通信』でしょうね。私自身も拘置所にいるとき、3回投稿して2回掲載されたことがあります(笑)」
また、自分が写っていないかをチェックするのも日課だったという。
「自分の親分が墓参りしたときとかの写真が載ったりすると、付き人として自分が写ってたりするんです。『お! オレ写っとるやん!』みたいな感じでね(笑)。それと気にして読んだのは巻末の逮捕者一覧。『あ、こいつ工場で一緒だったヤツだ』とか『殺人かぁ~、終わったな』みたいに、中で知り合った連中の消息を知る伝言板みたいなもんでした」
とはいえ、ヤクザ雑誌は消えゆく運命にあったとも沖田氏は言う。
「今、ほとんどの刑務所で『実ドキュ』は不許可雑誌です。むしろ昔はよくこんなもん許可されてたなと」
塀の中にいる多数のお得意様読者が読めないとなれば、ヤクザ雑誌としてはこれほど厳しいことはない……というわけなのだ。
【沖田臥竜氏】
元広域暴力団二次団体の最高幹部、現作家。著書に『生野が生んだスーパースター 文政~現在、男道にて修行中~』(サイゾー)がある
※現在発売中の『週刊SPA!』5/9発売号では「さらばヤクザ、さらば『実話ドキュメント』という特集を掲載中。『実話ドキュメント』元編集長で作家の牧村康正氏が、往年のアウトローメディアの栄枯盛衰を大いに語っている。
取材・文/SPA!任侠道取材班

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