実家暮らしで働かず、やる気も欲もない若者たちの日常生活に密着
「ワーキングプア」や「ネットカフェ難民」という言葉が登場したのが約10年前のこと。その頃、少年少女だった今の「若者」たちは貧困という状況をより身近なものとして育った世代であり、そしてその問題は今、彼ら自身にも降りかかっている。「失われた20年」のなかで生まれ育った、やる気も欲もない若者たちの苦悩を探った。
高校卒業後は進学も就職もせずに埼玉県の実家で暮らす浅井孝之さん(仮名・23歳)。彼の家庭は父親が肉体労働で体を壊して働けず、母親がパートで家計を支えてきた。
「だからずっと貧乏で、大学行くとか考えもしませんでしたね。就職先もろくなのがないから、高校出てからはずっと家事手伝いみたいな感じ。大体いつも、コイツと家でだべっています」
と、紹介されたのは同窓生の吉塚啓太さん(仮名・23歳)だった。彼も高校卒業後は不定期で解体屋の仕事をする以外は働いていない。
「僕の家は母親がフィリピン人で、離婚した父親はどこで何をしているのかわからない。母親は飲食店で働いていますけど、それと合わせて細々とやっている感じです」
日がな一日、どちらかの家に溜まってはネットを見たり、同じような境遇の地元の仲間を集めて時間をつぶす日々。最近ハマっているものを聞くと、「コレですね」と市販の“のど薬”を取り出した。
「コレを炭酸で割って飲むんです。すると、気分がトロ~ンとしてくるんですよ。あとは睡眠薬と混ぜたり。どっちも合法だし、効き目もまったり系なので気分的に楽ですね」(浅井さん)
混ぜた液体をペットボトルに入れて、知人に1本1000円で売ることもあるという。
「俺らみたいなヤツは周りにいっぱいいます。学校じゃハーフだって結構いましたし。解体の仕事と合わせて収入は月3万円くらいしかないけど、逆にカネを使わなければなんとでもなるから」(吉塚さん)
贅沢を知らない彼らは、まったりした日常を受け入れていた。
※写真はイメージです
取材・文/SPA!若者の貧困問題取材班
郊外に暮らす若者たちの「モラトリアム」な日常
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