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知ったかぶりは恥をかく…「グレーンウイスキーはモルトを薄めた安酒」にあらず【ビジネスマンのための一目おかれる酒知識】

 世界的にはシングルグレーンウイスキーの商品は珍しいのですが、モルトもグレーンも同じ蒸留所でつくっている日本では、各社からシングルグレーンウイスキーが商品化されています。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1381761

愛知県知多市にある知多蒸留所で造られるグレーンウイスキー。当初、オンライン限定販売だったが、口コミで評判となり、全国販売されるようになった

 サントリーの「知多」はスッキリと軽やかで、ひじょうに飲みやすいシングルグレーンウイスキーです。グレーンとは何かを知るのに、最適のウイスキーではないでしょうか。

強い甘みとまろやかな口当たりが特徴で、2013年のインターナショナル・スピリッツ・チャレンジで金賞に輝いた

 一方、ニッカの「カフェグレーン」は、飲みやすさのなかに旨味が凝縮されていて、驚きの旨さ。竹鶴政孝がこだわった、カフェ式連続式蒸留機の実力のほどがうかがえます。

富士御殿場蒸溜所シングルグレーンウイスキーは品薄が続いており入手困難な幻の酒になっている

 キリンディスティラリーの「富士御殿場蒸溜所シングルグレーンウイスキーAGED 25 YEARS SMALL BATCH」は、昨年のワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で「ワールド・ベスト・グレーンウイスキー」を受賞しました。3万円以上する高価なグレーンウイスキーですが、富士御殿場蒸溜所へ行けば試飲できるそうです。  こうしたシングルグレーンウイスキーは、単独で飲むためにつくられたものですが、一般的なグレーンウイスキーは、ブレンデッドウイスキーの味わいのベースとなり、モルトの個性を引き出してくれる存在になります。  サントリーの名誉チーフブレンダー輿水精一さんは、著書の中でこのように言っています。 「ブレンディングの世界は、交響楽団の指揮者にたとえられます。ブレンダー(指揮者)は、多彩なタイプの原酒(楽団員)を統率し、妙なる香味のブレンデッドウイスキーを響かせるというわけです」  つまりグレーンウイスキーは、けしてウイスキーを水増しするための安価なアルコールではなく、ブレンデッドウイスキーという交響楽を奏でる楽団の一員なのです。 【江口まゆみ】 神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学卒業。酒紀行家。1995年より「酔っぱライター」として世界中の知られざる地酒を飲み歩き、日本国内でも日本酒・焼酎・ビール・ワイン・ウイスキーの現場を100軒以上訪ねる。酒に関する著書多数。SSI認定利き酒師、JCBA認定ビアテイスター
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