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ウイスキー好きを公言するならはずせない「台湾のカバラン」その新作の味わいは?

 単一の蒸留所で大麦のみを使って作られるシングルモルトウイスキーは、スコットランドだけでなく世界中で作られています。日本では、サントリーの山崎蒸留所で作られる「山崎」やニッカウヰスキーの余市蒸留所で作られる「余市」などが有名ですね。そして、台湾にもカバラン(KAVALAN)蒸留所があります。

台湾のシングルモルトウイスキー カバランの新作がお目見えします

定番銘柄でも1万円超え。強気の価格設定のカバラン

 台湾北東部の宜蘭(ぎらん)にあるカバラン蒸留所は2006年に蒸留を開始しました。2008年には初のシングルモルトウイスキーを発売し、その後いくつものコンペティションで受賞しています。  カバランは通常ラインナップだけでも10種類以上あり、特別なボトルもいくつか出ています。筆者はほぼすべて飲んでいますが、特徴としてはとても味が濃く、独自の風味です。決して、合格点を狙うようないい子を狙っているわけではなく、あえて熟成させる樽の特徴を前面に出すような味わいになっています。

筆者は以前カバラン蒸留所に見学に行ったことがあります

 1点、気になっていたのが価格です。定番銘柄でも1万円を超え、上位ラインナップは2万円とか6万8000円になっていたのです。さすがに、熟成年数や味と価格のバランスが取れず、一時期高まり始めたカバラン人気にも水がかけられました。  しかし2017年6月、日本の輸入元がリードオフジャパン株式会社に代わり、一気に値下げを断行。価格の高騰に歯止めがかかり、定番の「カバラン コンサートマスター」は1万円を切る価格で手に入るようになりました。ただ、一般的なウイスキーファンからすると、それでもまだちょっと高く感じてしまうところです。  そこで登場するのがカバランの新作「ディスティラリーセレクト(Distillery Select)」。発売は2018年9月3日です。「ディスティラリーセレクト」の希望小売価格はなんと4500円(税別)とダントツに安いのが魅力です。

カバラン蒸留所のこだわりとは?

 ウイスキーの樽には、様変わりしたさまざまな種類があります。オークが基本ですが、アメリカやヨーロッパ、日本など産地により特徴が異なるのです。また、バーボンやワイン、シェリー、ブランデーなどを熟成した樽を再利用し、それらのお酒のエッセンスをウイスキーに利用することもあります。通常、蒸留所では複数の樽で熟成し、製品を作るときは混ぜ合わせる(バッティングする)ことになります。

カバラン蒸留所は見学設備が整っています。写真は樽の内部を見せてもらったり、樽材に触れるコーナー

 例えば「カバラン クラシックシングルモルト」は希望小売価格が1万1000円で、6種類の樽をバッティングしています。一方、「ディスティラリーセレクト」は3種類の樽を利用しているとのことです。また、樽は3~4回使い回すのですが、回数が少ないほど木材の特徴が染み出るので貴重です。「ディスティラリーセレクト」はカバランがニュートラル樽と呼んでいる2回目と3回目の樽を利用して熟成しました。  その他のこだわりはいつも通りです。蒸留で得られる液体から、樽熟成に回す原酒のことをミドルカットと呼びますが、カバランではわずか10%しか利用しないそうです。スコットランドでも25~30%は使っているそうなので、品質を高めようとする努力がうかがえます。もちろん、前半と後半の液体は捨てるわけではなく、次の蒸留に回します。利用する原料の大麦を一定のサイズに粉砕することにこだわっており、発酵に利用する酵母はフランスや南アフリカ産のものを利用しているとのことです。  カバラン蒸留所に行ってびっくりしたのが、樽を縦に置いて熟成させていることでした。不思議で仕方がなかったので、今回聞いてみたところ、地震対策と管理のしやすさのためとのことです。日本も地震は多いものの横置きなので疑問は残りましたが、縦置きで何かデメリットが発生することはないようです。ちなみに、カバランで使っている水は雪山山脈から降りてきた天然水を地下からくみ上げているものです。

カバランでは樽を縦置きで熟成させているのに驚きました。普通は横に並べます

 カバランは熟成年数を表記しいていないのですが、使っている原酒は最低4年、最高でも10年とのことです。2006年に蒸留を開始しているので、10年以上の原酒もあるのですが、近々、年数表記が付いたカバランが出ることはなさそうです。
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発売前のカバランの新作その味わいは?
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