「残業代は払わない」ブラック企業の人事が明かす強引なやり口
しかし気になるのは、それだけ長時間働くことで、会社からすれば残業手当や深夜手当といった「出費」がかさむのでは、という点だ。働いた分を給与に反映するのは当然であるが。
「1日500円の深夜手当こそ支給してはいますが、残業代はほとんど出していません。『みなし残業』が月に80時間と設定されているのと、社長がしっかりと勤怠管理をチェックしていて、誰かが80時間を越えになりそうなところで私に『アイツは自宅勤務にさせといて』と言ってくるんです。残業代を払いたくないから、今月はもう出てこなくていいという意味。月の最後の週は自宅作業扱いになる人がけっこういますね」
さらに80時間を超えた場合にも、残業代を支払いたくない社長による工作は続く。
「80時間を超える残業があった場合、社長の妻である経理がそれを日中の仕事にならして計上するんです。そうしても超える分は私たちが社員に「〇〇の時間は休憩にあたりますよね?」などと“説得”に回っています。そんなことができるのかと思われるでしょうけど、社員が文句を言って来なければ何をしても良いと考えているんですよ。実際、そこまで大きな問題になったことはありませんし」
そんな環境下であるため、ハイペースで社員が入れ替わっていくというわけだ。それだけでなく、社長がクビを宣告することも少なくないとか。
「自分にたてついた社員はすぐにクビにします。『社長の原稿はココが間違っている』などと指摘された瞬間にクビ宣告。でも社長が賢いなぁと感じるのは、入社した社員に6か月もの研修期間を設けていること。この期間内であれば『業務に支障がある』といった理由でクビを切ることができるからです。逆に6か月を耐えた人であれば、長期間続くという側面もあります」
一般社員はともかくとして、管理職の扱いはどうなのだろうか。
「部長職は2人いるのですが、どちらも名ばかりの役職で、他の一般社員と扱いは同様です。かわいそうなのは管理職として社員の教育やグチを聞かなければならないので、それはもう大変だと思いますね。でもどちらも10年以上続けているだけあって、社長には何一つ口答えをしないように教育されてるなと感じます」
今の時代、社長の利益追求型すぎるやり口は批判されても仕方がないと思うのだが、峰田さんは意外なところで社長のすごさを口にする。
「社員に対しては口も悪いし、横柄だし、冷徹そのもの。だけどそれって、経営者としては非常に効率が良いなと思うようになりました。良く言えば、無駄なお金をほとんど使わずに利益を追求するということですから。実際、会社の業績は非常に良く、これまた気分次第ですが、社員に給料5か月分の特別ボーナスを支給することもある(それ以外に定期賞与はない)。また、社員に食事やお酒をおごったり、お昼ごはんをドーンと出前にしてくれたりと、絶妙にアメとムチを使い分けている感じもあります。そのへんが、これまで訴えられなかった理由かもしれないですね」
ブラック企業の多くは社員を薄給で酷使するがゆえに業績好調という典型的な例。峯田さんまでも会社側に付いてしまわないことを願いたい。<取材・文/日刊SPA!取材班>
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