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映画「ブレードランナー2049」「IT」。人気作家の映画化が立て続けに【コラムニスト木村和久】

木村和久の「オヤ充のススメ」その184 ―  日本では、アメリカの人気作家が原作の映画がたて続けに公開され、ちょっとした話題になっています。順を追って説明しますと、10月27日に公開したのが「ブレードランナー2049」という「ブレードランナー」の続編です。これはフィリップ・K・ディックの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(1968年)を原案にしており、今回新たにストーリーが書き加えられました。  1982年公開の「ブレードランナー」は多くの人々に影響を与え、SF映画の金字塔になっています。暴走したアンドロイド(映画ではレプリカント)を追って始末するのがブレードランナーという人々で、初代はハリソン・フォードが演じてます。映画での設定は2019年です。あと2年で、アンドロイドが暴走するのですが、現実世界はやや遅れてますね。  新作でブレードランナーの役を演じるのが「ラ・ラ・ランド」でブレイクしたライアン・コズリング。そして彼はアンドロイドとして生を受けていて、夢を見たりセクロスしたりと、ほぼ人間になっているのが驚きです。それにしても2049年という未来が、凄く暗く絶望的なのに驚きます。地球温暖化や大停電が起こり、地球は人間が住みづらい場所になっているんですね。たぶん、これは現代に警鐘を鳴らしているんだと思います。今から悔いあらためて、健全に生きましょう。  ディックの作品は「マイノリティ・リポート」「トータル・リコール」「アジャストメント」など映画化されたSF作品がたくさんあります。さぞかしお金持ちかなと思いきや、1982年脳梗塞により53歳の若さで亡くなっています。だから自分の作品がこんだけウケているなんて知らないのです。  ということは「ブレードランナー2049」は、もしディックが生きていたら、こういうのを書いたろうという予想のもとでの新作です。方向性としては、アンドロイドの進化はどこまで辿りつくかということで、実に素直なパート2作品に仕上がっています。初代の「ブレードランナー」が好きな人は、ほぼ全員が見るでしょう。結果、満足度も高いと思います。個人的にも非常に面白く見れました。  ただ問題としては、初代の映画は伝説的になっている一方、興業収入としては今ひとつだったのです。後から評価をされて、ビデオで見た人もいるでしょう。オヤジ世代にしかウケないという方もいます。そうなんですよ、若者がどれだけ興味を持ってくれるかがカギですね。  連日、物凄い宣伝でハリソン・フォードも来日し、超盛り上がっていますが、正直、ふたを開けてみないとわかりません。最近だとすごく感動して良かったけど、硬派過ぎて客は入らないと思った「ダンケルク」が一時、興業収入1位をとりました。いい作品は見られるという理論なら、1位も夢ではないです。  面白いシーンとしては、レプリカントのバーチャルセクロスシーンが結構リアルで素敵でした。これなら風俗嬢を呼ばなくても、そこそこ楽しめるかなあ。未来もまんざら、悪くはないかなって、喜ぶところはやはりそこですか。
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