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アニメタルが30万枚の大ヒット! 古き良き“アニソン魂”を守ったジャパメタ

ジャパメタ&『ジャンプ』の最強タッグがアニソン界を席巻

 『週刊ヤングジャンプ』がOVAやイメージ・アルバムの制作に積極的に乗り出していたのには、80年代頃から『週刊少年ジャンプ』(集英社)連載の作品が次々とアニメ化し(『キン肉マン』『Dr.スランプ』『キャプテン翼』『キャッツ・アイ』など)、部数を伸ばしていたことが、その背景にあると思われる。  『週刊少年ジャンプ』連載の激しいバトル系のアニメ化作品には、ジャパメタと結びついた例がしばしば見られた。『北斗の拳』のオープニングテーマを唄ったクリスタルキング、KODOMO BAND、TOM★CATは、どれもハードロック調の楽曲だったし、TVアニメ『聖闘士星矢』とOVA『風魔の小次郎』もハードロックだった。『ドラゴンボールZ』のオープニングテーマを唄った影山ヒロノブや、劇場用アニメ『ろくでなしBLUES』の主題歌を唄った小野正利(現Galneryusのヴォーカル)は、ジャパメタ人脈である。

TVアニメ『聖闘士星矢』「ペガサス幻想」と、劇場用アニメ『ろくでなしBLUES』「虹~ろくでなしBLUES」(筆者撮影)

 アニメタルがヒットするまでに、これだけアニソンとジャパメタの結びつきの例は多かったのである。だが、筆者は80年代からアニメ雑誌とメタル雑誌を読み続けているが、この事実について深く考察した読み物は、ほとんどないと言っていいだろう。例外として、『ヘドバン』Vol.7(シンコーミュージック・エンタテイメント、2015年)掲載の「第七のヘドバン・マンガ&アニメ編 漫画とアニメに流れるメタルの血」で、マンガ・アニメで使用されたヘヴィメタルのネタについて触れられていたことをここに記しておきたい。

アニソンのパンク化、テクノ化、ユーロビート化、ジャズ化……

 アニメタルがヒットしたことで、多くの「2匹目のどじょう」を狙った音源が発表された。アニメソングのパンク化、テクノ化、ユーロビート化、ジャズ化した「アニパンク」「アニテクノ」「アニユーロ」「アニジャズ」、さらにフォークソングのメタル化「メタルフォーク」、歌謡曲のメタル化「メタルっち」「ナツメタル」、ドラマ主題歌のメタル化「ドラメタル」、刑事ドラマ主題歌のメタル化「刑事(デカ)メタル」などである。  これらの便乗商品にも、80年代ジャパメタ・シーンで名の通っていたミュージシャンらが多く携わっている。その中には、『まんが日本メタルばなし』(森川之雄「沼津カツヤ」名義)、『モスラメタル』(柴田直人)や『演歌メタル』(福田洋也)など、ANTHEM関係者の姿も見られた。いずれにせよ、彼らジャパメタ・ミュージシャンは、商品制作にあたって必要とされたということである。この時の実績が、後のアニソンにも引き続きメタル人脈が活躍することにつながっていったのだと思う。
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アニメタル関連で特筆すべき3枚のアルバム
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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