日本初の民間ロケット会社社長が明かす「世界最低性能ロケット」にかける思い
――「当面の目標は人工衛星の打ち上げ」と仰っていましたが、聞くところによると、「世界最低性能のロケット」を目指しているとか?
稲川:これまでの宇宙開発は国主導で、とにかく世界最高性能にこだわってきました。でも、我々民間事業者からすると、性能なんかよりもユーザーに使ってもらえることが大切です。そのために、とにかくコストを安く、気軽に打ち上げられるようにしないといけない。その意味では、「世界最低性能のロケット」で十分なんですね。うちの会社がやりたいのは、要するに輸送業です。佐川急便やクロネコヤマトと同じで、人工衛星という荷物をお預かりして宇宙までお届けし、その配送料をいただくというビジネス。具体的には重量100㎏のものを、高度500㎞の地球低軌道に運びます。そのためには大きな機体も、高性能エンジンも必要ありません。小さくて、世界最低性能の安いロケットで十分なんです。
――ビジネスとして考えたとき、100㎏以下の人工衛星を打ち上げるニーズというのは多いんですか?
稲川:IT技術の進歩で、今は衛星を造ること自体、わりと簡単になっています。特に小型のものだったら、大学生でも造れます。小型の人工衛星を打ち上げてビジネスをしたいというベンチャー企業も数多くあるんですが、それを打ち上げるロケットが限られているのが一番のボトルネックになっているので、ビジネスチャンスは十分にあります。
――具体的な打ち上げ費用のイメージを教えてください。
稲川:たとえば、日本のH2Aロケットだと、1回打ち上げるのに100億円かかりますが、うちは5億円以下を想定しています。
取材・文/山本啓介 撮影/吉場正和
※このインタビューは12/19発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです。
【インターステラテクノロジズ代表取締役社長 稲川貴大氏】
’87年、埼玉県生まれ。東京工業大学工学部制御システム工学科卒業後、’13年に同大学大学院機械物理工学専攻を修了。同年4月にインターステラテクノロジズに入社。現在は社長業と並行してロケット技術者として、システム設計や制御系設計などを行っている
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