広告代理店を辞めて漫画家になった2人の「しなやかな仕事術」――かっぴー×おかざき真里
かっぴー:はい。キャリア5~6年あたりになると「仕事だからしょうがない」が口癖になって、戦わなくなってしまって。それが、「こんなこと描いちゃっていいのかな?」ぐらい好き勝手な漫画を描いたらウケちゃった。「俺、間違ってたのかな。サラリーマンじゃなかったのかな」って気づいたんです。
おかざき:そうなんだ! 私は真逆で、今もなるべく戦わない。
かっぴー:意外です!
おかざき:私のコマ割りって、代理店時代にコンテボードを作っていた影響で独特なんですね。それで『スピリッツ』の編集さんに「おかざきさん、コマ割り変えてください」と言われたことがあったんですけど、そのときは全部変えました。でも普通のコマ割りにしたらつまらなくなってしまって、そしたら編集さんが「すいません、やっぱり戻してください」って(笑)。
かっぴー:怒らないんですか?
おかざき:「はーい」って直しました(笑)。だって、どう変えても自分のなかのものしか出せないわけで。かっぴーさんはどういうところで戦うんですか?
かっぴー:お菓子の広告の漫画で、女子力の低いところに行くと死ぬキャラクターを出したんですけど、最後にドン・キホーテに行って女子力が低すぎて死ぬっていう話にしたくて。でも、ドン・キホーテでそのお菓子売ってるから、マズいじゃないですか。
おかざき:それは通ったんですか?
かっぴー:通しました。とりあえず1回は戻してみることにしてます。おかざきさんは、テーマやモチーフについても戦わないですか?
おかざき:『阿・吽』も、自分の発案ではなくて、提案されておもしろそうだったからのったんです。仏教の知識、全然ないですから。監修の方に「小学生のときに見た空海像が忘れられないんです。ほら、口から像が出てる……」って言ったら、「それは空也!」って、膝から崩れ落ちてましたね……。
かっぴー:あはは。でも、オファーが細かいとどうやって打ち返すか考えるのが楽しいですよね。タイアップも、制約のなかで考えるのが楽しい。
おかざき:一人広告代理店みたいな。でも、上にハンコもらわないといけない人がたくさんいるわけじゃないからだいぶラクですよね。
かっぴー:代理店時代の100本ノックの経験の賜物かもしれないです。
【かっぴー】
武蔵野美術大学卒業後、東急エージェンシー、面白法人カヤックを経て漫画家として独立。週刊SPA!で『バズマン』連載中ほか連載多数
【おかざき真里】
多摩美術大学卒業後、博報堂に入社し、その後漫画家として独立。代表作に『サプリ』(祥伝社)、連載中の『阿・吽』(小学館)など多数
<取材・文/山脇麻生 撮影/福本邦洋>
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