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ザ・ロード・ウォリアーズ 暴走戦士はベスト・フレンズ――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第53話>

 ホークは、何度も死にはぐってはそのたびに命拾いした。心臓が止まったこともあるし、脱水症状で意識不明になったこともあった。  親しかったレスラー仲間のうちの何人かが若くして天国へ召された。ハイスクール時代からの友だちで“シャーキー道場”の同期だったリック・ルードはドラッグOD(オーバードース=過剰摂取)で帰らぬ人となった。  テリー・ゴーディは、心臓にできた血栓が原因で眠ったままこの世を去った。デイビーボーイ・スミスは、心臓マヒでいきなり旅立った。  ホークに「そんな生活をしていたら…」といつも親切に忠告してくれた“ミスター・パーフェクト”カート・ヘニングはある朝、ホテルのベッドで息をひきとった。  アニマルはホークを教会に連れていった。牧師はかつてのライバルで、同じミネアポリス出身の元プロレスラーのニキタ・コロフNikita Koloffだった。  ホークは生まれて初めて聖書を読んだ。どのページを開けても“自分みたいな男”が出てきた。ホークは神にめぐり逢い、生きることにどん欲になった。ホークより3歳年下のアニマルはちょっとだけ安心した。  その日、ホークはフロリダ州インディアンロックス・ビーチの新居への引っ越しの作業をしていた。  ちょっと疲れたホークは「2時間後に起こしてくれ」とデール夫人に伝え、ベッドルームに入っていった。そして、そのまま天国へ逝ってしまった。  デール夫人はすぐにミネアポリスのアニマルの家に電話をかけた。アニマルはまるでそうなることがわかっていたように冷静に“悪い知らせ”にうなづいた。  大長編ドラマ『ザ・ロード・ウォリアーズ』は唐突に最終回を迎えたのだった。 ●PROFILE:ザ・ロード・ウォリアーズThe Road Warriors/Hawk&Animal ホークは1957年1月12日生まれ、本名マイケル・ヘグストランド。アニマルは1960年1月26日生まれ、本名ジョー・ローリナイディス。ふたりともミネソタ州ミネアポリス郊外出身。1983年6月、チーム結成。AWA世界タッグ王座、NWA/WCW世界タッグ王座、WWE世界タッグ王座、インターナショナル・タッグ王座など保持。日本では全日本プロレス、新日本プロレス、SWS、格闘探偵団バトラーツ、WJプロレスのリングに上がった。ホークは2003年10月18日、心臓発作で急死。享年46。アニマルは正式な引退試合をせずにリングを降りた。 ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦
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