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アカデミー賞の選考に操作はあるのか? ゲーム戦略のプロが解析した

 アカデミー主題歌賞にて、この1年間、世界で一番売れた『The Greatest Shouman』の主題歌「This Is Me」が獲れなかった。受賞したディズニー主題歌も素敵だけど、なぜ「This Is Me」が負けたのか? 両映画の日本公開から3か月が経ち、評価も一段落した今、毎勝負ごとに分析をしていくプロギャンブラーが考察してみた。 プロギャンブラー・のぶき「人生の賭け方」

〈第45回 アカデミー賞も忖度?〉

 まず、主題歌の一番人気は、YouTubeの再生回数が判別しやすい。両曲名を入れて、さまざまなバージョンを加算してみると……「This Is Me」はYouTubeにおいてのべ1.5億回も再生されている。対する受賞作は、5000万回。(2018年6月20日現在)。本来、民意が受賞とリンクしているなら、票に3倍の差が生じて、結果は異なる。つまり、なにかくつがえすパワーゲームが生じた。 「This Is Me」は、この1年において世界一人気の映画音楽で、アカデミー賞最有力候補だった。しかも、アカデミー賞の大舞台で「This Is Me」を歌わしておいてさ。てっきり、賞を獲れると勘違いした関係者も多いと考えられる。今回、映画同様に高評価された主題歌の動画が、映画撮影前の練習会。この練習動画だけでのべ2250万回も再生されている。

(YouTube グレイテスト・ショーマン”This Is Me”20th Century FOX のスクリーンショットより)

 ちなみに、YouTubeの再生回数は買えてしまう。噂の範疇は超えないが、有名なのは、韓国の歌手Phyの「江南スタイル」。けれども、ビジネス視点でみれば、『勝てば官軍!』で、最高の戦略だ。逆にサッカーでバレた例だと、韓国のプロサッカーKリーグで審判側も選手側も買収があったし、ワールドカップで南アフリカへの開催決定のときなども買収があった。決定権のある人を買収すれば、結果は買える。  では、映画の最高峰アカデミー賞はどうだろう。投票の権利があるのは、映画芸術科学アカデミー会員の約6000人と多い。会員になれるハードルは高くて、映画関係者としての成功が必要で年齢層は高い。実のところ、映画関係者が決める映画関係者用の内輪な賞となる。逆にいえば、仲間への票や組織票が動きやすく、根回しも多いと言われる。賞にノミネートされると投票権を持てるので、一団体が多く勝つほど、組織票は強くなる。とはいえ、仮にディズニーが裏で受賞に動いた場合、暴露されたときのブランドイメージのデメリットも大きいし、6000人規模だと難しくもある。つまり、買収は非現実的だ。  ところで、ディズニーアニメで興行収入トップは、アカデミー主題歌賞を獲った「アナと雪の女王」。ピクサー・ディズニーの興行収入トップもアカデミー主題歌賞を獲れた「トイ・ストーリー3」。つまり、「アカデミー主題歌賞を獲れば、収益がトップクラス」になる。100億円規模の予算をかけて作られる映画ビジネスにおいて、主題歌の評価で収益が激変する。もしバレないならば、評価を買わない方がビジネスとして間違った戦略となる。映画関係者から情報発信側へのネゴシエーションか、広告での洗脳など、なにかしらの動きをすれば、流行は作れる。実際、アカデミー選考時期に、多くの選考委員が住んでいるロスでは、映画広告やアピールが垂れ流される。アカデミー受賞“ハート・ロッカー”のプロデューサーは、ルール違反と知らず「選考委員にメールで投票依頼した」ことがバレて大問題になった。
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確率的にはおかしい受賞率
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