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伝説のイタリア産メタル・バンドSKYLARKはなぜ2ちゃんねらーから愛されたのか?

日本のオタクカルチャーを愛したSKYLARK

 なぜ、90年代中頃にイタリアからメロディックメタル・バンドが大量に排出されたのか。その理由は、日本産TVアニメのアニソンの影響が大きいのではないか。どういうことかというと、イタリアのバンドの90年代中頃以降とそれ以前には、メンバーが子どもの頃、日本産TVアニメの洗礼を受けたか否かという決定的な違いが見出せるのである。  イタリアので日本産TVアニメの放送が始まった1978年から20年近く経って、その影響を受けた“日本産TVアニメ洗礼世代”が登場し始めたのが、90年代中頃だったということだろう。そして、その始祖的存在が、SKYLARKそしてエッディ・アントニーニだったのである。  SKYLARKの音楽性は、メロディックスピードメタル(メロスピ)というメタルのサブジャンルであるが、日本においてこのメロスピは、オタクだとかアニソン臭いとされ、硬派なメタラーからはキモがられた。しかしこの頃、インターネット掲示板2ちゃんねるが勃興し、オタクメタラーの存在が可視化される。  この頃、日本人はすでにオタク化していたのだ。というのも、1995年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)が653万部という大新聞レベルの発行部数を記録しており、また同年10月から放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は、社会現象となるヒットとなっている。つまりマンガ・アニメは、オタクのみならず、一般人のものとなっていたのである。  インターネットの登場以前の日本人は、「マンガは馬鹿が読むもの、アニメは子どもが観るもの」という昭和的価値観を持つ上の世代とマスメディアに乗せられていた。オタクや日本を蔑むヘイトな価値観を植えつけられていたのだ。しかしこのヘイトは、マンガ・アニメの社会的なヒットやインターネットの勃興によって、払拭された。  さらに外国からも、日本のオタクカルチャーを愛する声が聞こえてきた。ヘヴィメタル・シーンにおいてアニソンをカヴァーするバンドが多かったのが、イタリア出身のバンドだった。そのなかで、アニソンカヴァーをもっとも頻繁に行なったのが今回取り上げているSKYLARKである。
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SKYLARKが大好きな日本のファンたち
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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