雑学

デリヘル嬢との恋路に、立ちはだかった戦国武将――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第34話>

お礼日記には風俗嬢独自の世界が展開されている


 「あいつもたぶん俺のこと好きだな。帰り際にギュッとホテルのロビーで手を握ってきたもん」みたいなことを言っていた。それはたぶんそういう営業戦略ですよ、と言おうと思ったけど、舞い上がっている馬場さんにそんなことは言えなかった。完全に恋するおっさんである。

「それでよ、帰り際にいうわけよ、わたしお店のホームページで日記書いているから見てねって」

 これは俗にいう「お礼日記」というやつだ。最近では情報化社会の波が風俗界にも訪れていて、一昔前のようにホームページに女の子の写真を載せて呼んでね、では通用しなくなっている。そこで、増えてきたのがこの「日記」という形式だ。

 だいたい、風俗嬢のプロフィールページから「日記」だとか「写メ日記」みたいなリンクが貼られていることが多い。そこでブログ形式で日記が綴られているのだ。ある程度は店の方針が反映されているだろうけど、そこには風俗嬢独自の世界が展開されている。

「今日出勤です。まだまだ空きがあるみたい。お兄さんと遊んでみたいな~、呼んでね」

 みたいなストレートな営業日記もあれば、

「今日は友達のミサちゃんとディズニー行ってきました!」

 みたいに本当の日記を書く風俗嬢もいる。いずれにせよ、客に訴えかける何かが必要なので、だいたいはややセクシーな自撮りが添えられている。

 その中で、もっともスタンダードなのが、「お礼日記」という形式だ。

「今日は本当に楽しかったね。

 最初はびっくりしたけど、緊張がほぐれてきて、あとはずっと笑ってたね。

 最後フィニッシュできてよかった~、時間なくて焦ったけど……

 また呼ぶって言ってくれて嬉しかった。

 またね☆彡」

 こんな感じのものだ。これはまあ、呼んでくれた客に対するものであり、リピーターとして育てようとする戦略がある。これを読んだ客は、いい子だったな、彼女も喜んでくれたみたい、よし次も呼ぼう、となるのだ。

 ただ、それ以外にもこの「お礼日記」は重要な情報を含んでいる。

 例えば、これから呼ぼうという未知の女の子の場合、風俗サイトのプロフィールページではよく分からないことがある。「例えるなら超新星爆発です!」とか抽象的なこと書かれても意味わからないし、もっと曖昧なことが書いてあることもある。そもそも嘘しか書いていないことだってある。

 ただ、こういった「お礼日記」を読むとわかることがある。

 上記の「お礼日記」でも、少なくとも会話が盛り上がった形跡が窺えるので、最低限のコミュニケーションをとれる女の子であることはわかる。

 おまけに最後まで頑張ってくれる健気な子で、表面上はビジネスライクでないこともわかる。また呼ぶと、たとえリップサービスであっても客が言うくらいなのだから、そこまで悪い子ではないかもしれない。

次のページ 
他の客へのお礼日記にいちいち嫉妬する馬場さん

1
2
3
4
5





おすすめ記事