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デリヘル嬢との恋路に、立ちはだかった戦国武将――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第34話>

他の客へのお礼日記にいちいち嫉妬する馬場さん

 こうやって「お礼日記」を分析することで、その子の人となりを推察できる。店が書いたプロフィールページなんかよりも情報満載、それが「お礼日記」だ、と識者は語る。 「その子の日記を見ようと思ったんだけどドキドキして見れないわけよ。だから一緒に見てくれ」  そう言って馬場さんは静かな喫茶店へと誘った。 「WINSはうるさいからな」  馬場さんはそう言ってアイスコーヒーを頼むと、スマホの画面をこちらに見せてきた。 「この子だ」  馬場さんはまるで彼女でも紹介するかのように少し照れ臭い顔で言った。そこには風俗店のサイトがあって、顔こそはモザイクで隠れているものの、黒髪で色白で、清楚風な女の子のプロフィールがあった。 「そこにリンクがあるだろ。そこを読んでくれ。俺はドキドキしてダメなんだ」  もちろん、そういったドキドキの事情も少しはあるかもしれないが、普通にいい年をしたおっさんがそんな乙女みたいなことを言っても気持ち悪いだけである。本当は、馬場さんは完全にこの子が自分に恋していると思い込んでいるので、僕に自慢したかったのだと思う。 「俺への告白とか書いてあったらどうしよう」  そう言う馬場さんを尻目に、「書いてねえよ」と思いつつリンクを開く。どうやら律儀な子、かつ人気がある子らしく、日記はお礼で溢れかえっていた。 「ホテル シテ〇のリピーター☆」  どうやら彼女、数多い客を識別できるよう、利用したラブホテル名を日記タイトルにして「お礼日記」を記載していた。なるほど、これならわかりやすい。まさか客の名前とか書くわけにいかないからな。 「今日はありがとうございました。 久しぶりの再会だったね お互いに弱いところを新発見だったね あれは反則~ あのあとちゃんと帰れたかな? ちょっと心配です また、呼んでね」  一番最初にあったお礼日記を読み上げると、馬場さんはグイっとアイスコーヒーを傾けた。 「それは俺じゃねえな」  そして乱暴にグラスを置くと、少し切ない表情で言った。 「なんかこういう文章ってけっこう嫉妬するもんだな。ほかの客とのそういうの。新発見した弱い場所、どこなんだろう、とか。なんか俺の女がとられたみたいでさ」  お前の女じゃねえよ、なにバカなこと言ってるんだ、と思いつつ、次のお礼日記を読む。
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「告白とか書いてあったらどうしよう」
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