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思い出の品でも捨てるべきものは?過去にとらわれない処方せん

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第103回 思い出

なぜ思い出の品を取っておきたいのか?

 人には誰でも思い出があり、思い出の品があります。子供の頃に大事にしていたもの、プレゼントされたもの、旅行先で買ったものなど、その時の記憶を思い出させるものが「記念品」です。  記念品は持ち主の信念を強くします。賞状やトロフィーはその典型です。賞状やトロフィーを見れば、表彰された時の情景と誇らしい気持ちが自然とよみがえり、その体験に基づいてこれからのことを考えられるようになります。  ただ、記念品は集めれば集めるほどいいわけでもありません。思い出すというのは、それなりに時間を使うからです。記念品が多ければ、それだけ多くの時間を過去に費やすことなります。  人間にはその時その時に取り組むべきテーマがあります。それはお金のことかもしれませんし、仕事のことかもしれませんし、家族のことかもしれません。ある程度の記念品はそのテーマについて考えるヒントになりますが、記念品が多すぎるとその過去に囚われ、現在のテーマに取り組めなくなります。  また、記念品はポジティブなものとは限りません。たとえば別れた恋人が残したマグカップはネガティブな記憶を思い出させます。それがテーブルや食器棚など、日常的に目に触れるところに置いてあればなおさらです。その度にネガティブな記憶に引きずられて、前に進めなくなってしまいます。

物を捨てられない、過去にとらわれる自分

 記念品は「思い出すことが使い道のもの」と「本来の使い道があるもの」に分けられます。たとえば賞状やトロフィーや卒業アルバムは過去を思い出すためにあり、それ以外の使い道がありません。こうした純粋な記念品は保管していてもさほど問題にはなりません。  一方、「成人祝いで親からもらった腕時計」や「恋人とお揃いで買ったマグカップ」などは本来は思い出すためにあるのではなく、道具としての使い道があります。記念品で問題になるのは大抵こちらです。その道具が原因になって、自分が過去に囚われていることに気づかないからです。  物を捨てるというのは、それにまつわる思い出を整理するということです。物が物では終わらないのが人間の心です。だからこそ物が溢れる社会になって、物を捨てることがトレンドになりました。
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何を残して、何を捨てるのか
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