更新日:2019年09月27日 15:15
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「安倍-枝野体制」という、ふざけた共犯関係/倉山満

言論ストロング

第25回参議院選挙の応援演説後、支持を訴える安倍晋三首相。最大の争点だった「景気回復」も望めぬ今、我々有権者に、「自民党」の何を支持しろと言うのだろうか(写真/時事通信社)

今こそ、ふざけた政治に宣戦布告すべきだ。「安倍枝野体制を不信任する!」と

 本稿執筆時に参議院選挙の結果は出ていないが、大勢は決まったようだ。残念ながら、安倍内閣を大敗させ、消費増税を阻止する、という結末は迎えられそうにない。 (編集部注:開票結果は、改選124議席中、与党の自民57+公明14が改選過半数を占めた。野党は、立憲民主17など合計53を獲得)  今回の参議院選挙は、野党がよほどの愚か者でなければ、安倍内閣は間違いなく退陣だった。選挙公約で「消費増税10%と憲法9条改正」を掲げる。増税の方は財務省に逆らえないので言わば開き直りの形で堂々と掲げたが、さすがの自民党も九条論議からは逃げた。  野党からしたら、「安倍おろし」の好機到来だ。デフレ期の増税の不可を説き、国民に訴えれば間違いなく支持を得られ、上手くすれば衆参同日選挙に追い込んで、一気に政権奪取すら夢ではない展開だった。

政権を取る気がない野党

 この状況で、野党第一党である立憲民主党党首の枝野幸男は何をしたか?  そもそも、勝つ気が無かった。  枝野も、悪い頭なりにソロバンをはじいた。今回の自民党は6年前に勝ちすぎているので、議席減を何議席に抑えられるかと言う選挙だ。野党第一党の座を維持しておけば、何もしなくても票は自分に流れる。10議席も増えれば躍進となる。それより、他の野党に対して優位に立つことだ。  下手に政権など目指せば反動も大きいし、何かの間違いで権力を握ってしまえば、責任をとらなければならない。だったら、最も無責任な立場で最大の権力をふるえる、野党第一党の地位を確固たるものにする戦いに邁進すべきだ。  これで許されるのだから、日本に民主主義など存在しない。そして、こんな人間が野党第一党に居座る限り、マトモな野党は伸びられない。「まさか野党に任せるわけにはいかない」と、自民党の政権は半永久的となる。  これを昔は、「55年体制」と呼んだ。常に与党でいたい自由民主党と、政権は取りたくないが野党第一党の地位を守りたい日本社会党の談合体制だ。自民党と社会党は、表では反対党を装いながら、裏では常に談合を繰り返していた。  やる気のない野党第一党と、消去法で選ぶしかない与党。多数の国民は政治そのものに不信を抱いていく。今の政治の原点だ。民主党など社会党の焼き直しにすぎない。  枝野幸男は、55年体制の蜜の味を吸い尽くしたいらしい。そして、救いようのない野党が、国民を地獄に連れていく「安倍一強」を長引かせる。言うなれば、「安倍枝野共犯体制」だ。国民は今こそ、ふざけた政治に宣戦布告すべきだ。「安倍枝野体制を不信任する!」と。
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「安倍か、反安倍か」の二択しかないことが不幸なのだ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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