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「保守」と「ネトウヨ」の違いは、左右に上下の軸を加えると見える/倉山満

私は「ネトウヨ」と一緒にされるくらいなら、潔く自害する

 では、真の保守はどこにいるかというと、右上の立ち位置である。日本国を愛するが故に、日本政府の誤りを批判する勢力である。この意味での「保守」は、「ネトウヨ」を蛇蝎(だかつ)の如く嫌う。当然、私も「右上」を自任している。時々、勘違いした評論に出くわすが、私は「ネトウヨ」と一緒にされるくらいなら、潔く自害する。そういう輩には、ちゃんと調べてから書けと言いたい。  こうした整理で、現代日本の現実政治の権力構造と思想的立ち位置がおわかりだろうか。  左下は、ネトウヨが右のすべてだと勘違いして攻撃し、その連中に応援される安倍首相も仲間だと思っている。あまつさえ、内閣法制局が安倍首相に忖度しているなどと、見当違いの批判を浴びせたりする。  一方、右下は左下が左のすべてだと勘違いし、安倍内閣の足を引っ張っている個人団体を攻撃すれば日本が良くなると本気で信じている。  安倍首相は、ときどき思い出したように「憲法改正」を言うが、それはかつての支持基盤の「ネトウヨ」が露骨に敵に回らないようにする為のリップサービスにすぎず、真の支持基盤は左上である。実際には、内閣法制局が許してくれないので、彼らを敵に回してまで戦う気は無い。  結局、安倍内閣7年は、左下と右下のじゃれ合いに終始してきた。そして左上の権力は健在である。  ネトウヨどもの跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)に、保守は大迷惑している。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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