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胸の型取り女性モデルを募集したら…/藤沢数希

―[モテる映画工学]―
~映画『ロマンスドール』~
モテる映画工学

©2019「ロマンスドール」製作委員会

ラブドール職人が奏でる儚くも美しいラブストーリー

 主人公の北村哲雄(高橋一生)は美大を出てフラフラしていたところ、大学時代の先輩に紹介され、何の仕事かも知らず町工場を訪ねる。そこはラブドール製作工場だった。男性が疑似性交をするための等身大の人形である。最初、哲雄は戸惑うものの、職人の相川さんの指導の下で熱心に仕事をするようになった。  ある日、どうしてもいい胸を作りたい、と型取りのためのモデルを募集することに。目的を正直に書いては誰も応募してくれないと思い、「医療用乳房のため」と少し偽りながら募集した。そして、応募してきた美しい女性が小沢園子(蒼井優)である。ふたりはやがて夫婦になり、お互いに秘密を持ちながら暮らしていく。  脚本と監督はタナダユキで、実力派の俳優陣とともに素晴らしい映画に仕上がっていた。僕は恋愛系の作品は女性監督モノが好きである。描かれる女性心理がとても参考になるからだ。一方で、男性が描く女性は理想化されすぎていることが多い。女は浮気もするし、計算高い恋愛もするし、相手が非モテだと判断すればヤラせずとことん搾取したりするのだが、そういうことを男性作家はどうも描きたくないようだ。辛くなってしまうのだろう(笑)。  哲雄は場末の町工場にやってきた園子に一目惚れするのだが、いったいどうやって射止めるのか。これが見事な告白なのである。「一目惚れしたので、付き合ってください」と実に正々堂々と、出会ったその日にド直球である。美人はいろんなモテる男から“変化球”を投げられ続けているので、逆に直接的なアプローチが効くのだ。
―[モテる映画工学]―
理論物理学研究者、外資系金融機関を経て、作家。メルマガ「週刊金融日記」は読者数1万人、ツイッターのフォロワーは18万人を超える。最新刊『損する結婚 儲かる離婚』が発売中

ロマンスドール
監督・脚本/タナダユキ 原作/タナダユキ「ロマンスドール」(角川文庫刊) 出演/高橋一生、蒼井優ほか 1月24日公開
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