365日、毎日が博打。人気予想師・李正侑による競馬ノワールを連載開始<浦和桜花賞>
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きっかけは口が達者で定評がある顎回しの純ちゃんからの話だった。
「何を言ってんだか、俺にそんな作家の真似事が出来る訳がないだろう?サッカーに賭けるならまだわかるけどよ。」
俺が即座にこう言ったのには訳がある。
純ちゃんはしょうもないシノギを持ってきては、それが上手くいかなくて唸り飛ばすとなぜだか結果的に上手くいったり、上手くいかなくてもなんだかこっちが悪かったような、もしくは時流が悪かったような気にさせるピカピカのペテン屋だったからだ。
「いやいや、ちゃんと話を聞いてくれってば。李くんインターネットで最近博打の予想なんか出して人気なんだろう?あれがいくらかのゼニになるんだから。」
純ちゃんは意気揚々とこれからのビジネスを語りだしたが、俺はどうにも斜めに目を逸らしてしまう。
それは昔にSNSを利用して俺の予想を世に出したらいいんじゃないかと、この純ちゃんに言われた経緯があるからだ。
「儲かったらきっかり半分こだぞ」
そんなことを言われていた気がする。
だが“顎回しの純”なんていう通り名がつくことからもわかるように、純ちゃんの持ってくる話はいつも適当で、儲かった話と大損した話を通算すると一体どうなるのか。
いくらかまとまったゼニになったのは事実だが、俺はそれを純ちゃんにはビタ一文回していない。人探しの手伝いなんかをボランティアで散々やってやったし、もうそれでいいかと思って触れないようにしてきたからだ。
「でも仲間がなんて言うかなあ。純ちゃんもわかると思うけど周りの連中も巻き込んで博打で遊んでるからさ。」
実際に俺が博打関連の発信をすることでここまで人の耳目を集めたのは想定内とは言えないし、この前なんかNHKがわざわざ取材に来てみたり。これはもう趣味と割り切っていた俺にとっても平気の平左とはいかない話だ。
「いいから一度会ってみなよ。李くんだって耳は大きくしておく方がシノギに幅が出るだろう?」
やはりそう来たか。
こういう人の心をくすぐる言い回しが顎回しの真骨頂でもある。
人付き合いはびっくりするくらいに器用なのに、おっちょこちょいなのも純ちゃんの憎めないところだ。
こないだなんかは個人輸入した金賞クラスの大麻の種子を車で一時間くらいの山でアウトグロウしていて、「どうしても成長が気になるから」と俺達の静止も聞かずに雨の中を飛び出して行き、結果は御用になった。
いい年のおっさんがレインコート着て型落ちのアルファードなんかから降りてウロウロしてたら、それはそうなる。
二十日で出てこれたのは良かったが、留置所でまた妙な知り合いを作ってきたらしく、俺に紹介したいなんて話もあったから、ブン屋さんなだけ今回は有難い話なのかもしれない。
俺は純ちゃんの言うがままに、やつの連れ、ブン屋のハマに会うことになった。
新宿・歌舞伎町を根城にするギャンブラー。競馬競輪、ボートにバカラと賭け事ならなんでもござれ。座右の銘は「給我一個機会,譲我在再一次証明自己」
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