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観光とコロナと共に生きる、石垣島・中山市長の覚悟

観光客は9割減、経済を回さないと成り立たない沖縄

 4月中旬から5月下旬までの約2か月弱、石垣島独自の緊急事態宣言を発令したことに伴い、観光客数は9割減となってしまった。6月1日から観光客を受け入れることにしたのは、それを取り戻さなくてはいけない状況からだ。
石垣ビーチ

閑散とする石垣島のビーチ(8月1日)

「先日の4連休はホテルの稼働は8割ほどにまで改善したものの、8月のご予約状況は島全体で例年の40%を割っています。現在、沖縄では感染者が増加していますから、石垣島も同じ沖縄県ということで、このあとキャンセルが増えるのではないかと懸念しています」  ブランド牛である「石垣牛」や、名産のパインアップルやマンゴーも旬な時期なのに売れ残っている状況。そのため、中山市長は感染予防対策をしっかりとってもらいながら観光客の受け入れをしたいと話す。 「可能な限り、観光客の皆さまと島の住民を守るためにマスクの着用を義務付けたいと考えています。熱中症の恐れもありますので、周囲の人と2m以上離れているビーチなどではマスクを外して頂いても構いませんが、お土産屋や商店街、室内ではマスクを着用頂きたいです」  今後ふたたび石垣島独自の緊急事態宣言を発令するための基準は定めていないものの、状況を見ながら判断していくという。 「たとえば市中感染が拡大し、しかも感染経路が不明な場合や、9床の感染症対策の病床が埋まってしまいそうな場合などは医療体制が追い付かないため、緊急事態宣言を出さざるをえないかもしれません。 観光客の皆さまには石垣島としてもぜひお越し頂きたいのですが、くれぐれも自前のマスクの着用と、ご自分の体調管理をしっかり行って頂けますようにお願い致します。少しでも体調が悪いと感じられるときには“せっかく予約したのにもったいないから”と無理をなさらないで旅行を自粛して頂きたいです。万が一医療体制が脆弱なところで新型コロナウイルスを発症してしまっては、2週間隔離されるのも大変ですから……」  そして、石垣での感染拡大の要因になっているであろうGoToトラベルキャンペーンについては、以下のように述べる。 「観光業の業績悪化を受け、需要喚起のための政策と期待はしていましたが、実施時期についてはまだまだ後になるものと考えていました。新型コロナの感染が落ち着き、全体的な経済活動が動き出した後からでもよかったのではないかと。全国的に感染が拡大し、第2波と呼べるこの状況では一度立ち止まるほうが得策だと思います」  高齢者の多い島で新型コロナの感染を拡大させてはいけないし、コロナで観光経済が焼き払われてしまってもいけない。この絶妙なバランスを成立させるには、観光客自身が感染を拡大させないためにマナーを守ることが必要不可欠だ。体調に違和感を感じたときは、決して無理だけはしないようにしよう。 <取材・文/松本果歩>
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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