仕事

「テレワークは最高」だった会社員。突然の出社命令に耐えきれず…

 ウィズコロナのテレワーク導入とともに「もう出社したくない……」と嘆く会社員たち。これまで、「テレワークが快適すぎる会社員」として在宅勤務によって廃人化していく都内のIT関連会社でSEとして勤務する男性=吉川春樹さん(仮名・30歳)と、同棲している恋人の美香さん(仮名・29歳)に幾度となく取材を行ってきた。
吉川春樹さん

吉川春樹さん

 前回は「感染者が増えたのでしばらく出社しなくていい」と喜んでいた吉川春樹さん。だが、世間がお盆休みに入る少し前、そんな彼から突然連絡が入った。 「聞いてください……。ついに出社することになってしまったんです……

悪夢の出社命令…地獄すぎる日々

 これまでとは打って変わったような重たい口ぶりの吉川さん。SEという職業柄、世間との休みのズレは多少あると思うが、なぜこのタイミングでの出社に至ったのだろうか。 「本来ならこの時期は毎年、新製品の発表などで忙しい時期。本当なら6月頃からバタバタするのですが今年はコロナの影響で遅れが出てしまったんです。そこで今回のプロジェクトとともに、昇格が決まった……というわけです。先週までは研修のために在宅勤務をしていたのですが、先日ついに会社から出社命令が出てしまいました。「研修が終わり次第出社」と言われたときは、頭を撃ち抜かれた気分になりましたね……」  実はこの研修期間中も在宅勤務とはいえ、かなりストレスが溜まったという。その理由とは……。 満員電車 「研修中ずっと、本社からリモートで監視されていたんです。これまで在宅勤務中にコッソリしていた飲酒やスマホゲームは一切できなくなってしまいました。それが1週間も続いたので、一気に以前の社畜生活に引き戻されましたね。そのせいか最近、身体の調子がおかしくて出社しても拒否反応が出るようになってしまったんです。まず、電車に乗ることができなくなりました。初出社の日、スーツ姿のサラリーマン達が地下鉄に乗り込む姿を見ていたら、動悸と立ちくらみがしたので慌てて地上に上がりましたよ。今も電車に乗ることができず、タクシーで出社しています」  元々、1日10時間勤務が通常なのに加えて規則が厳しい会社。自由を謳歌していた3か月以上にも渡るテレワークとは比べ物にならない様子。その環境の変化のせいか、最近ではこんな症状も起きているという。 「勤務時間はテレワークと変わらないのですが、出社してからは疲れが全然取れなくなったんです。以前は深夜1時過ぎに寝るのが普通だったのですが、今は22時頃に寝落ちするように……。先日もそのくらいの時間に寝落ちして目を覚まして時計を見るとなんと1時。遅刻だ! と思い、リビングにいた彼女に『なんで起こしてくれないの!?』と言うと『まだ夜だよ?』と……。単に寝ぼけていただけなのかもしれませんが、体内時計が狂ってきているんです。昨日も水曜日だと思っていたら、彼女に『今日、木曜だよ』と言われて気づいたりと……曜日感覚も失ってきていますね」
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快適なテレワークの代償は“無気力症状”
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