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「沖縄がオイシイ」は闇社会の合言葉に…助成金の不正受給が横行するワケ

カネも女も食い物にされる沖縄の現状

 暴力団、半グレの息のかかったダミー会社を沖縄に設立、もしくは会社を持っている移住者を抱き込んで助成金をむしり取る。この実態は、一部の県民にもよく知られていることでもある。事情に詳しい関西在住の人物に話を聞いた。 「沖縄がオイシイというのは、かれこれ10年以上も前から言われていたこと。カネも女も沖縄で仕込む手口が楽なんだよ。まずはカネ。適当な会社をでっち上げるか、休眠会社を買い取って地元で食い詰めてる連中を社員に仕立てる。それで助成金をせしめて後はバックレるだけ。うまく申請すれば、社員の給料も3分の2以上は補助されるから、怪しまれない程度の人数を雇うようにすればいい。事業内容は、イベント会社、観光客向けの沖縄料理屋、テレアポやコールセンターといったような沖縄に多い業種であれば何でもいい。  観光客向けの沖縄料理屋なんて、経営者が地元のヤツなんてほとんどいないんじゃないかな(笑)。私の知り合いは適当な沖縄料理の店を出して、半年ほどで飛ぶ予定がまんまと当たってしまい、1年ほど続けて東京の外食チェーンに売っ払って助成金と売却益でウハウハだった。  それと、助成金だけじゃない。生活保護も沖縄はゆるいからこれも食い詰めてる連中を使って不正受給させてピンハネができる。震災で内地から逃げてきた連中なんて、仕事もなくてすぐに食い詰めた。こういう連中を転がすとカネになるんだよ」  彼によると、風俗関係の女性も沖縄で調達していたという。 「内地の風俗グループがホストクラブを沖縄に作るんだ。ホストはみんな内地でヤリ手の連中だから、沖縄が地元の女をハメこむのは赤子の手をひねるようなもん。あとは売掛(※ツケ)をしっかり作ってから、大阪や名古屋、東京などで提携している風俗に沈めるという寸法。沖縄は狭いから沖縄が地元のコは地元で風俗をしたくないってコが多い。だから、内地で~って言えばすぐに乗ってくる」

内地からノウハウを持って沖縄へ

 彼によると今回の持続化給付金の不正受給についても、内地から入り込んだ半グレが大きく関わっていると言う。 「休眠会社やダミーの会社の扱いは半グレや反社勢力にとっては“本業”だよ。SNSを使って受給したいヤツを募って不正受給させる、今度はその不正受給したヤツにマージンを払うからと言って勧誘をやらせてネズミ算式に受給したいヤツを増やしていく。オレオレ詐欺とマルチのノウハウをうまく組み合わせてる感じだな。こういうノウハウは内地でやってるヤツが作ってる。田舎のチンピラじゃ思いつかないって」  別段、4億円以上の不正受給額のすべてが、ナイチャー(本土の人間)の仕業というわけでもないが、餌食になっているのはウチナー(沖縄の地元の人)の食い詰めた人だけではない。大学生やごくごくフツーの人たちも手を染めているのである。取材した沖縄のマスコミ関係者は忸怩たる思いで語る。 「ナイチャーが勝手に来て、荒らすだけ荒らして帰る。地元民が怒らないはずがない。国の助成金により飲食店を開業するのは都市圏に比べてはるかに簡単。それもこれも観光産業を盛り上げたい施策から始めたのに、詐欺まがいな行為で助成金をかすめ取る。人間感情として、だったら俺たちもって思うナイチャーが出てきても仕方がないんじゃないですか」
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沖縄へ渡ったカネは再び内地へ
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1968年生まれ。岐阜県出身。琉球大学卒。出版社勤務を経て2009年8月より沖縄在住。最新刊は『92歳、広岡達朗の正体』。著書に『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)、『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』(KADOKAWA)、『まかちょーけ 興南 甲子園優勝春夏連覇のその後』、『偏差値70の甲子園 ―僕たちは文武両道で東大を目指す―』、映画化にもなった『沖縄を変えた男 栽弘義 ―高校野球に捧げた生涯』、『偏差値70からの甲子園 ―僕たちは野球も学業も頂点を目指す―』、(ともに集英社文庫)、『善と悪 江夏豊ラストメッセージ』、『最後の黄金世代 遠藤保仁』、『史上最速の甲子園 創志学園野球部の奇跡』『沖縄のおさんぽ』(ともにKADOKAWA)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α文庫)、『永遠の一球 ―甲子園優勝投手のその後―』(河出書房新社)などがある。

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