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コロナ自粛で国民は多くを失った/倉山満

国民は多くを失った

 もはや国民生活は破綻寸前である。なるほど、一部の補助金が回っている業者は潤っているが、失業廃業が相次いでいる。それでも政府の財政出動と日銀の金融緩和があるから持ちこたえているが、それらが無ければ即座にリーマンショック以上の大不況が訪れる。それほどの危機だ。国民は多くを失った。  コロナ自粛で何が失われたか。  自殺者はリーマンショック以来11年ぶりに前年比増。失業率も11年ぶりに増加。DVの相談件数過去最多。大学1年生のほとんどはオンライン授業を強要され、キャンパスに通ってないし友達も作れてない。  昨日まで高校生だった若者が地方の親元を離れ、生まれて初めて都会で一人暮らしをした孤独と不安、経験したものでなければ理解できないだろう。入学式まで知り合いの誰とも会わない、授業が始まるまで友達ができない、そんな大学一年生が多くいる。それも、大学生活が始まるから、生きる喜びに変わる。

1年間、喜びを得ることのない暮らし

 しかし1年間、人としての喜びを得ることのない暮らしを強要された。  これほどの犠牲は、何のために払われたのか。 「新コロはペストのように危険な伝染病かもしれない」との仮説がすべての出発点だった。そして、医療体制の構築は追いつかないから、感染者(と称する陽性者)を増やさないよう、国民全員が自粛を強要された。  だが、新コロは「少しはマシなスペイン風邪」ほどの死者を出している欧米ならいざ知らず、日本では「少しはしつこいインフルエンザ」程度だ。無関係なものにとっては、新コロより花粉症の方がよほど迷惑だ。政府は今後、インフルエンザや花粉症が流行るたびに緊急事態宣言を出すのか。  この期に及んで、政府の最高助言者である尾身茂は「若者は花見に行くな。飲み会をやるな。旅行をするな。外で飯を食うな」と命じてくる。日本医師会会長中川俊男は「緊急事態宣言を無制限に延長すべきだ」とまで言い始めた。それらすべて、「新コロがペストのように危険な伝染病かもしれない」との仮説が崩れた以上、何の正当性もない。  1年以上、日本は尾身・中川・尾﨑らに振り回された。その都度、もっともらしいエビデンスを出してくる。しかし、あらゆるエビデンスの価値は、目的によって決まる。今の政府が推進する「なんちゃってゼロコロナ」の如き、世界征服に等しい不可能な目標に向けてのエビデンスなら無視すればいい。  いい加減、目を覚まそう。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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