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日本ハムの球団運営を2軍から支えていた斎藤佑樹。その驚くべき功績をデータで読み解く

投手が増えたことで中継ぎに専念するように

 これと呼応するように、斎藤佑樹投手の起用法が変わっていった。2019年の斎藤佑樹投手は1軍で11試合、2軍で18試合登板し、基本中継ぎでの起用。2軍の投球回数は38と2/3で、チーム内投球回数順位は前年の3位から13位まで下がった。  この年の日本ハムは育成で2人野手を指名したが、本ドラフトで4人の投手と2人の外国人投手を加入させており、開幕時には36人の支配下投手体制で、日本ハムとしては投手数が多い状態になっていた。それでも、他球団の育成選手を含めた投手数から比べると少ないほうになってしまうのだが、日本ハムとしてはこれでも投手数が多かったのである。  さらに翌2020年から育成でも投手を入団させるようになり、復活を目指していた斎藤佑樹投手の投球回数は19と1/3まで減少する。そしてそのオフに右肘内側側副じん帯断裂との闘いが待ち受けていたのである。

日本ハムの体制では戦力だった斎藤佑樹

 振り返ると、選手を統計評価して絞って育成する日本ハムの球団運営における斎藤佑樹選手の位置というのはよく言われる「客寄せパンダ」としてだけの話ではなく、育成環境である2軍鎌ヶ谷での試合を円滑に進行し、投手不足で無理な登板過多の投手が生まれてしまう状況を防いでくれる大事な「戦力」だったのである。  もちろん1軍で華々しく活躍してくれるほうがありがたいのは間違いないのだが、育成して翌年以降も選手が育つ環境を維持することも、プロ野球球団が強くなっていくためには必要な要素である。11年間、斎藤佑樹選手が日本ハムで投げていたことは、大半が活躍できず引退するプロ野球界において「功績」があったといってもよいのではないのだろうか。 文/佐藤永記
公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright
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