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選挙で自分の一票を有効に使わねば、何をされるかわからない/倉山満

選挙で自分の一票を有効に使わねば、何をされるかわからない

 衆議院が解散され、総選挙が始まった。岸田文雄首相の目論見は、「またまたコロナが流行る前に選挙を終えてしまいたい」だ。事実、御祝儀支持率は記録的低調。調査をするたびに内閣支持率は下がっている。
言論ストロングスタイル

10月19日、第49回衆議院選挙に向け、有権者へ支持を訴える岸田文雄首相。御祝儀相場ナシと揶揄される低支持率スタートとなった岸田政権は、来年夏を越えられるか―― 写真/時事通信社

 ただし、今回の総選挙で岸田内閣を退陣に追い込めると思っているプロは、枝野幸男氏を含めて一人もいない。枝野信者と呼ばれるカルト的狂信者を含めて日本人の誰一人、この選挙で枝野内閣が誕生するなどと信じている人間は一人もいない。あの鳩山由紀夫氏でさえ、政権を獲る意思を示し実現したのに……。  いったい、何のために選挙に行くのか。選挙に行って、何か世の中よくなるのか。疑問に思うのも当然だろう。だが、選挙で自分の一票を有効に使わねば、何をされるかわからないのは、このコロナ禍で身に染みただろう。では、どうするか?

今回の衆院選は来年夏の参院選の前哨戦

 まずは、状況を確認する。ちょうど、各マスコミの情勢調査が出て、概ね一致しているので、これを分析の基礎にすればいい。  最初に、与党の自民党と公明党。  自民党は233の単独過半数を超えるか否かが焦点だ。ただし、公明党は約30議席が固く、与党で政権維持は間違いないと目されている。  言うなれば岸田首相が40議席減らすかどうかが焦点で、あまりに多くの落選者を出すと、来年夏の参議院選挙の前には「岸田では戦えない」と再現VTRのように総裁選をやりかねない。また、自民党は参議院選挙に合わせて衆議院を解散、衆参同日選挙に持ち込み、今回の総選挙で減らした議席を取り返しに行く可能性もある。  つまり、日本政治の本番は来年夏の参議院選挙であり、今回の衆議院選挙は前哨戦だと理解した方がいい。

日本は実質的に公明共産の二大政党制

 次にいつもの野党。  立憲民主党は、共産党その他との選挙協力が功を奏し、数十議席は伸ばす目算となっている。枝野信者どもに言わせれば、「枝野様は百戦百勝、無敵の党首」だそうだ。何のことかと思ったら、常に野党第一党を維持しているからだ。しかし、枝野氏本人はまだいい。あれでも本気で政権を獲得しようと動いている。問題は「枝野幸男が真人間」になってしまう、立憲民主党の体質だ。自分一人が選挙に受かる為なら、党の議席がどうなっても構わない。「頼むから党利党略で動いてくれ」と願わずにはいられない地獄絵図の政党だ。  ところでお気づきだろうか。自由民主党と立憲民主党が同じ穴のムジナであることに。自民党の最大支持母体は、公明党(創価学会)だ。立憲民主党は共産党が組んでくれたので善戦できている。生殺与奪の権を握られる寸前だ。公明と共産は同じ左翼政党として仲が悪い。一方で自民と立民は、今の政治構造が続けば二大政党でいられる。日本は実質的に公明共産の二大政党制であり、自民は創価学会の孫請け、立憲は共産党の傀儡にすぎないのだ。
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問題の本質は、国民の政治への諦念だ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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