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「4歳のときビール瓶で頭を殴られた」父のアルコール依存症と戦い続けた男性が選んだ道

 昨今、アルコール依存症は社会問題として大きく報道されている。厚生労働省の2016年の発表だと患者数は、外来9万5579人、入院2万5606人、潜在的な依存症者数は約57万人。過剰な飲酒は、肝臓や膵臓などの内臓を蝕み、脳細胞にもダメージを与え、アルコール性認知症を発症するリスクも高める。
藤田英明

リネットジャパングループの常務執行役員・藤田英明氏

 そんなアルコール依存症の父を長年、1人で介護してきた藤田英明氏(48歳)にその実態を聞いた。藤田氏は現在、リネットジャパングループの常務執行役員で、ペット共生型障がい者グループホーム「わおん」を展開するアニスピホールディングスの代表取締役会長兼社長を務める。過去には、高齢者向けのお泊りデイサービス「茶話本舗」も立ち上げた、介護・福祉畑一本の人物だ。

ビール瓶で4歳児の頭を殴る父

 藤田氏は、3歳年下の妹と父母の4人家族の長男として、東京で生まれ育った。父は旧三井銀行で取締役まで登りつめたエリート銀行マンだった。しかし物心ついた頃には、アルコール依存症を発症していた。 「一番古い記憶は4歳くらいのときです。酒を飲んだオヤジから、ビール瓶で頭を殴られました。オヤジがテレビのコードをハサミで切ろうとして感電し、その八つ当たりで殴られたこともあります」  父はとにかく酒を飲むと暴れた。愛人を家に連れてくることもあった。妹に暴力は及ばなかったが、父が酒を飲んで暴れ出すと、母は子を連れて3か月くらいホテル住まいをすることもザラだった。そんな時、藤田氏は小学校にホテルから通っていた。 「他の家を知らないので、そういうものだと思っていました。オヤジは、酒を飲まないときは仕事熱心な人でした。朝6時には会社に行き、深夜2時に帰宅していました。そして、朝4時から酒を飲む。平日はほとんど寝ていなかったと思います。体が強い人でした。土日は接待ゴルフ。土日にゴルフがないと、朝から飲酒していました」

「金持ちが偉くて貧乏は存在価値がない」

 藤田氏は小中学校の頃、父から「金持ちが偉くて貧乏な奴は存在価値がないんだ」と聞かされて育つ。 「それは違うんじゃないか。この人は、間違っているんじゃないかという気持ちがありました。また、中学校2年生の時に、ブラジルにサッカー留学した際に“何でこんなに貧富の差が生まれるのだろう”という根本的な疑問を持ちました。だから、進学先は福祉系の大学しか考えませんでした」  そして、明治学院大学社会学部社会福祉学科に進学した藤田氏は、図書館で社会福祉の本ばかりを読む4年間を送る。
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月給10万円で泊まり込んで介護に明け暮れる
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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