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「4歳のときビール瓶で頭を殴られた」父のアルコール依存症と戦い続けた男性が選んだ道

葬儀で初めて流した涙のワケ

藤田英明

仕事と介護の疲れで体重は10キロ落ちた(当時の藤田英明氏)

 父の死後、700人を集めた葬儀で、藤田氏は喪主として挨拶をした。 「オヤジはずっとアルコール依存症でした。バブル世代で銀行に入って、バンバン稼いで、ゴルフをやって、夜は銀座で飲んで、女遊びをして、早期に死ぬという最高の一生だったと思います!」と言ったとき、初めて涙が出た。なぜ涙が出たのかは自分でも分からないと藤田氏は振り返った。最後に、アルコール依存症の親にどう向き合うべきかを聞いた。 「僕にも分かりません。基本的には、本人の人生なので、好きにさせたらいいと思います。アルコールや薬物は依存性があるから、本人が抜け出したいなら病院に連れて行ったらいい。本人が飲みたいなら飲ませるしかないと思います」  ドライに聞こえるかもしれない。しかし、アルコール依存症の父を長年支え続けた藤田氏の言葉にはある種の諦めと、最後まで父本人の意志を貫かせたかったという優しさがあったのかもしれない。 <TEXT/田口ゆう>
ライター・原作者・あいである広場編集長。立教大学経済学部経営学科卒。「認知症」「介護虐待」「障害者支援」「マイノリティ問題」など、多くの人が見ないようにする社会課題を中心に取材する。文春オンライン・週刊プレイボーイ・LIFULL介護などで連載・寄稿中。『認知症が見る世界』(竹書房・2023年)原作者
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