映画ではできない過激描写が満載『Zアイランド~関東極道炎上篇~』監督の品川ヒロシを直撃
絶海の孤島を舞台に、ヤクザ、ゾンビ、そして地元の若者たちがバトルを繰り広げる異色アクションムービー『Zアイランド』。公開初日から「こんな映画、見たことない」と各所で話題沸騰だが、映画に繋がるオリジナルドラマ『Zアイランド~関東極道炎上篇~』(全4話)が映像配信サービスdTVで独占配信されている。
品川:「京都の職人に作ってもらった」って設定の鋏には「反町 優(まさる)」って名前が彫られているんですけど、「お前なんて、ぜんぜん(優)しくねぇーよ」って一人でツボに入ってました。木村さんは吉本に入った当初からおっかなかったですからね。怒られたりってことは無いんですけど、木村さんが部屋に入ってくるだけで背筋がピッとなるというか。その貫禄が作品でも出せればいいなと。
――暴力シーンの話ですが、映画も含めて、例えばゾンビが噛み付いたら、血管がニュッと出てきて、それごと引きちぎるような細かい描写が特徴的でした。製作するうえで特に意識されていることはあるのでしょうか?
品川:僕の撮る作品がほかの日本映画の暴力描写と決定的に違うのは「見せる」ってことですね。音や結果で想像させるって手法もあるけど、殴ったら拳が当たる瞬間、刃物で切れる瞬間ってのを、これでもかと「見せる」ことを意識します。これは、アクションシーンにしても同じこと。僕が総合格闘技はもちろん、ジークンドーとかカリ・シラットとか格闘技全般に興味があるってこともあるんですけど、実際にスパーリングをしたりプロの試合を観戦しながら、「ここで金的を蹴ったらどうなるんだろ?」とか「耳に噛み付いたらどう反応するのか?」ってことに純粋に興味があるんです。ドリフの「もしもシリーズ」じゃないけど、作品世界の中だからこそ、「その先のリアルを見たい、見せたい」ってことは意識してます。。
――登場人物たちの台詞、言い回しにも、独特の世界観が出ていると感じました。
品川:誰でもそうだと思うけど、仲間うちで話すときって独特のリズムがあるじゃないですか。真剣なときに必ずしも真面目な言葉ばかりを選ぶわけじゃない。実際はわからないけど、ヤクザの人もそうじゃないかなって思うんです。えげつない会話を、さも笑い話のようにリズムを持って話す。人質と冗談っぽく会話しながら、平然と頭を撃つ。で、「汚ったないなぁー。もー勘弁してくださいよー、掃除するのはコッチなんですからー」って感じで。軽口を叩いていても、目は笑ってないから怖さが伝わるんです。
――描写も台詞もえげつないシーンの連続でしたが、過去の作品でもここまで際どいことはありませんでした。
品川:オンデマンド配信ってことで、最近の映画やテレビにできないことができるってのが大きいですね。別に暴力を称賛しているわけじゃないんですけど、最近、特に規制がひどいじゃないですか。銀行強盗に向かう悪党がシートベルトを締めなくちゃいけない、未成年がタバコを吸っちゃいけないって。もちろんシートベルトは締めなくちゃいけませんし、未成年はタバコを吸っちゃいけません。でも、なんでもかんでも映画やテレビ、漫画のせいにするのはやめてよって。今回初めてdTVで作品を撮って、自由度の高さにものすごく可能性を感じました。もし、機会があれば、今後は長編の作品やシリーズものをdTVでやってみたいですね。ま、僕がこんな文化人めいた発言をすると、またアンチが増えそうですけどね。
――「好感度低い芸人」のイメージってやっぱり気になさるんですか?
品川:僕のこの性格で好感度上げようとしても絶対にムリですから。仕事しててもやりやすい、やりにくいといったら後者のほうだと思う。思いついたら夜中でも電話して、「ここをこうしよう」とかしつこいし。ただ、それを情熱的だって思ってくれる人とは深い絆になれるし。アンチが多い一方で猛烈に支持してくれる人もいますからね。作品も、もちろん万人が面白いと思わせるモノを作ろうとは努力しますけど、それは好みの問題ですから。筋金入りのアンチ品川になると、イの一番にチケット取って映画館まで観にきてくださって。そこは本当にありがたいんですけど、で、文句書くんですよ。口コミで「評価1:一人よがりの悪ふざけ作品」とか。たぶん、僕のこと嫌いな人は、一生、嫌いなんだろうなって。頑張ってその人より長生きするくらいしか、対策がないんですよね(笑)。
『Zアイランド~関東極道炎上篇~』
全4話 ※1話約15分
監督・脚本:品川ヒロシ
出演:村上淳 上地雄輔 木村祐一 宮川大輔 RED RICE(湘南乃風) 大悟(千鳥) 川島邦裕(野性爆弾) 中尾明慶 黒沢あすか HG(レイザーラモン) 遠藤要 庄司智春/鶴見辰吾/哀川 翔
本編はdTVで独占配信。dTVサイトURL (http://video.dmkt-sp.jp/ft/p0002201)
<取材・文/スギナミ(本誌) 撮影/丸山剛史>
物語の舞台は映画『Zアイランド』の10年前。関西の武闘派ヤクザ組長・反町(木村祐一)は、勢力拡大を図るため、関東で一大勢力を誇っていた宗形組組長・宗形(哀川 翔)との抗争のきっかけを探っていた。東京のとある雑居ビルに仮の事務所を構えた反町は、抗争の火種を作るため、構成員2人を宗形組のシマに向かわせたところ、宗形が弟分のように目をかけている半グレの関東狂走会と衝突。血で血を洗う修羅場へと発展――というのが主なストーリー。
映画以上に激しい暴力描写と、愛憎渦巻く対立の構図からは、一時たりとも目を離すことのできない怪作。映画と同じく監督・脚本を務めた、品川ヒロシ監督を直撃した。
――映画自体も10年前の抗争から始まります。映画を製作していた時点で、ドラマの構想は決まっていたんですか?
品川:いや、全然(笑)。クランクアップの直後に『Zアイランド』絡みでってオファーがあり、二つ返事で引き受けました。映画でやり切っていないことというより、映画ではできなかったことを出したいって願望はあったんです。描写も自由だから、「それじゃ、登場人物の設定はそのままに、もっとえぐいシーンを存分にやり切ろう」と。翔さん(哀川)は何をやってもどこを切り取っても絵になるハンサムなんで、その素材のまま暴れてもらいました。けど、木村(祐一)さんなんて、映画ですら何の救いもない悪役を演じてもらったのが、ドラマでは悪人っていうより“悪”そのものですからね。作品を見返したあと、「あ、俺、木村さんのこと嫌いになっちゃうかも」って思ったくらい(笑)。
――反町(木村祐一)が関東狂走会の池谷(村上 淳)を拷問するシーンは、演技だとはわかっていても、ゾッとするような怖さがありました。
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