今がチャンス? 同性婚を支援するサービス&企業は増えるのか
’15年の電通の調査では、セクシャル・マイノリティ(LGBT)に該当する人は、日本の人口の7.6%、商品・サービス市場規模は5.94兆円という規模となり、LGBT層を支持する一般層にまで消費傾向が広がっていると予測される。「レインボー消費」と名付けられたLGBTをめぐる知られざる消費の現場、市場を取り巻く人々や環境に迫った!
◆関係をオープンにするカップルも増えて<ウェディング>
愛し合う二人が、互いの関係を家族や友人に認めてもらい、祝福してほしいと考えるのは自然なことだ。たとえそれが男同士だろうと女同士だろうと、二人のピュアな気持ちは男女カップルのそれと差はない。
そんな考えのもと、今年4月から東京・渋谷区では同性カップルを結婚に準じる関係であると認定する「同性パートナーシップ条例」が施行された。
同性カップルの結婚式などをサポートすべく、昨年Letibee(レティビー)社を立ち上げた外山雄太さんによれば、同性カップルによる挙式は昨今着実に増えている。しかも、その模様をメディアで露出することをためらわないカップルが多々いるというのだ。
「元タカラジェンヌの東小雪さんが、’13年3月に東京ディズニーリゾートで恋人の女性とレズビアンカップルの結婚式を挙げたのは、大きなインパクトでした。ゲイカップルの挙式では、’14年8月に西田卓也さんと菱沼聖哉さんがウェディング情報誌『ゼクシィプレミア』や『ハフィントンポスト』に身分を明かした上で取り上げられました。これまでの日本のゲイカップルの結婚式で、ここまで取り上げられたのは初めてでしょう」
現役の大学生である菱沼さんは、勇気あるメディア露出の理由をこう振り返った。
「欧米先進国では同性婚やパートナーシップ制度に関する法整備が進んでいますが、当時の日本では議論すらない状況でした。私たちは結婚式を通して、異性カップルと同じように私たちも愛し合っていることを示したかったんです」
挙式から1年がたち、渋谷区の条例施行もあり、風向きは変わりつつある。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーといったセクシャル・マイノリティ(性的少数派)は、その頭文字から「LGBT」と呼ばれる。
総人口の約7%を占めると推定されるLGBTに向けたサービスの市場規模はおよそ6兆円(電通調べ)。情報感度の高い企業において、LGBTに対してフレンドリーであることはいまや常識化している。
禅宗寺院と提携し、世界中の同性カップルに向けて仏前結婚式プランを提供している「ホテルグランヴィア京都」の海外マーケティング担当・池内志帆さんに聞いた。
「’06年に日本のホテルとしては初めてアメリカに本部を置く『国際ゲイ&レズビアン旅行業協会』(IGLTA)に加盟し、’14年5月には世界に向けて同性婚プランのプレスリリースを出しました。海外からの同性婚を目的とするお客様が増え、さらに、プラン利用以外でも、海外からも国内からもLGBTのお客様が増えています」
LGBT顧客の取り込みに企業が腐心するなか、レティビー社の外山さんはLGBTの将来を占う上では、企業が今のタイミングで対応することが重要だと指摘する。
「過去にも何度かLGBTの話題で盛り上がったことはありましたが、現在来ている波は極めて大きい。これを逃したらLGBTが社会的に受容される機会損失と考え、多くの企業を巻き込むようなサービスの開発に取り組んでいます」
ベンチャー企業はもちろん、大手も老舗も巻き込んだLGBT商戦がいよいよ本格化しそうだ。
【外山雄太さん】
レティビー代表。同性カップル向けのウェディングサービス&ライフプランニング、企業向け研修を手がける。現在彼氏募集中
取材・文・撮影/野中ツトム(清談社)
ー [セクシャル・マイノリティ市場]が国内6兆円に拡大中 ー
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