恋愛・結婚

男女の出会いの場で起こる“取り調べ”について考えてみた【コラムニスト原田まりる】

 先日婚活パーティーに行ってきたという知人男性(29歳・SE)に「婚活パーティーどうだった?」と聞くと意外な答えが返ってきた。知人男性いわく「パーティーというよりも、取り調べをうけているみたいだった」とのこと。  取り調べ? 一体どういうことなのか、詳しく聞いてみると対面した瞬間に目の前に座った女性陣から「年収はいくらですか?」「実家はなにをやっていますか?」「親と同居していますか?」と、実利的な質問ばかり受けたというのだ。  よりいい条件で結婚をしたいと考える女性陣にとって、結婚とは現状の環境よりも、よりステップアップした環境に身を置くための手段。と、まるで“転職活動”のように捉える人もいると思うことを考慮すれば、男性の年収や実家の環境などをダイレクトに聞き出すというのは、“転職活動”としては理にかなっている。  しかし、結婚を“転職活動”とは捉えておらず、あくまで素敵な女性との出会いの場と捉えていた知人男性にとって、女性陣から受けた質問は「取り調べ」以外のなにものでもなかったという悲劇となってしまったのだ。  この「取り調べ」にはライトなもの~ベビーなものまであり、ライトな取り調べは普段、男女を含めた私達も普段、ごくごく自然に行っているのではないだろうか。 「年収」「実家」について率直に聞くことは、ヘビーな取り調べの部類に入るが、「どんな仕事をしていますか?」「休みの日は何していますか?」などの質問もライトではあるものの取り調べの一種には変わりないだろう。

合コンで起こる「取り調べ」「期待に応えようとする」

出会いの場で起こる“取り調べ”について考えてみた【コラムニスト原田まりる】

取り調べを受けたら、おどけてみせてブレイクスルー

 そして、「合コン」においては、いかに「取り調べであるかを相手に勘づかれないよう質問するか」の攻防戦が行われているものである。  例えば「最寄り駅どこ?」という質問。これは純粋に生息地を知りたいというよりも、生活水準をチェックする一つのフィルターの役割を果たしている。  答えるほうもそれを理解していて、例えば「野方」に住んでいる場合だと「高円寺」、「幡ヶ谷」だと「笹塚」と最寄りではないものの近隣にある栄えている方の駅名をいうなど微妙に相手の期待に応えようと奮闘してしまうものだ。それこそ面接官からの質問にうまく答えようとする就活生のようだ。  この取り調べは、女性から男性を取り調べるものばかりではなく、男性から女性への取り調べも多く存在する。たとえば、「得意料理は何?(料理スキルチェック)」、「部屋に物が多いほう?(片付けスキルチェック)」、「ブランドもの好きそうだね(金銭感覚チェック)」、「どうして元カレと別れたの?(浮気性、DV、メンヘラなどの地雷度チェック)」などなど、相手に聞いてみたことはないだろうか? これに対して、女性自身は期待に応えようとする当たり障りのない解答を持っているものである。  上記以外にも仲良くなったあとに「家に遊びに行ってもいい?」(恋人の有無の確認)というものがある。  この質問に対して、家に来られるのをどうしても回避したい訳あり男性ほど、トンチンカンな回答をするもので、いままで聞いた中で一番トンチンカンだった回答は「童貞の外国人留学生と同棲していて、女性が来ると怖さのあまり発狂するから無理」というもの。ここまで設定をつくりこまれると恋人がいる云々を疑うことを通り越して、その童貞の外国人留学生とデキているんじゃないか……と別角度の疑惑が生まれてきてしまう。  どうだろう? あなたも取り調べに対して、期待に応えようとしてみたり、うまくかわしたりしたことはあるだろうか? 原田まりる 近年では会社名を検索したり、FacebookやInstagramで日常生活をチェックしたりと、オンライン上で簡単に取り調べが行えてしまうが、取り調べを行う……ということは前提として「あなたに興味があるので、自分の期待を裏切る要因が見つからないでほしい」という相手への期待値の裏返しともとれる。  この自分の期待に沿うかどうかを見極めるよりも、「自分が相手に対して興味を抱いている」という気持ちを直視したほうが純粋に恋愛を楽しめるはずなのだが。〈文/原田まりる〉 【プロフィール】 85年生まれ。京都市出身。コラムニスト。哲学ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。レースクイーン、男装ユニット「風男塾」のメンバーを経て執筆業に至る。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。Twitterは@HaraDA_MariRU 原田まりる オフィシャルサイト https://haradamariru.amebaownd.com/
私の体を鞭打つ言葉

突如、現れた哲学アイドル!「原田まりるの哲学カフェ」を主催する著者が放つ、抱腹絶倒の超自伝的「哲学の教え」

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