「男はかわいい女の子ならばなんでもOK?」気鋭の漫画家・鳥飼茜が男の単純さを問う
『おんなのいえ』『先生の白い嘘』『地獄のガールフレンド』など、女性が直面する問題を描いて高い評価と支持を集める話題の漫画家・鳥飼茜が、昨年10月から『週刊SPA!』で「ロマンス暴風域」を好評連載中だ。
物語は、仕事も恋愛もうまくいかず疎外感を味わう主人公・サトミンが、店で出会った風俗嬢に運命を感じて恋に落ちるストーリー。しかし、そこは一筋縄ではいかない鳥飼作品。男性読者に都合のいい展開にはならず、2月21日発売号に掲載の第11話では、男女の風俗に対する認識の違いを巡るやりとりから、いよいよ物語は急加速しはじめる。
これまで女性視点の作品が多かった鳥飼氏が、なぜ男性を主人公にして、それも男性向け週刊誌で連載をはじめたのか。鋭い“男性性”への観察眼と、作品発表に込める覚悟を語ってもらった。
※鳥飼氏が「男性の生きづらさにも寄り添いたい」と語る「女子SPA!」のインタビュー(https://joshi-spa.jp/664379)もあわせて読んでほしい
現在『週刊SPA!』に連載中の「ロマンス暴風域」は、風俗嬢との間に“純粋な出会い”を見出す男性・サトミンが主人公だ。これまで、女性が生きる上での悩みや惑いを描いて読者の共感と支持を集めてきた鳥飼氏だが、今回は男性視点の物語を描くにあたり、いつもと描き方を変えている部分があるという。
「人物の気持ちをモノローグで語らせる、いわゆる“心理ネーム”というのがありますよね。女性が主人公の場合は、私の心情をある程度深いところまで書くんですけど、今回のサトミンは、私自身の感覚より少し“意識の浅めの部分”を描くようにしているんです」
そこには鳥飼氏が感じている、ある“男性の特性”を反映しているとか。
「率直な印象として、男の人が自分の意識の深いところまで考えて行動しているように見えないんですよ。たとえば好みの女の子を前にしたとき、かわいいと思ったらもう一直線で。これってたぶん逆もあるんだろうけど、人間的にまともで魅力的な男の子が、同性から見ると性格に難アリな女の子にぞっこんになっていることがしょっちゅうある。そんなとき、女子同士では『なんであのコに行くかな』『見る目がないな』ってよく話すんですけど。で、なんでかっていうと、結局そのコがかわいいからなんですよね」
見た目の好みに引きずられて、内面の評価まで変えてしまう、そんな男の単純さを鳥飼氏は浮き彫りにする。
「ああ、男の人にとっては“性的な魅力”っていうのがなにより重要なんだなって。そのコがどんなに計算高かろうが、人によって違う態度を取っていようが、そんなことは見えてないというか、あえて見ないようにというか、どうでもいいんだろうなと思ったんです。男の人のそういう、性的な魅力を前にすると急に人を見る解像度が粗くなる感じというのは、意識して描いてますね」
女性の目から見た男性の“大ざっぱさ”と“寛容さ”
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