更新日:2020年02月10日 22:30
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時給8円以下…副業初心者のWEBライターに“やりがい搾取”が横行!?

「働き方改革」の一環として政府が副業を推進したことを機に、大手企業も社員の副業を解禁する流れは止まらない。これに合わせてインターネット上で仕事紹介をしている「クラウドソーシング」のサイトやアプリのやり取りが増えているが、副業初心者に対して“搾取”の横行が目立ち始めている。
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※写真はイメージです(以下、同)

 都内で派遣事務職をする田中奈津子さん(仮名・40代)は将来不安の解消とキャリアアップを兼ねて、クラウドソーシング経由でWEBライターを始めたが、ヒドい搾取被害に合っていると明かす。 「元々FacebookなどSNSに投稿するのは好きだったし、読書も趣味だったので書評とか将来書いてみたいな、と考えていました。クラウドソーシングには“未経験者歓迎”の募集も多かったんです。WEBライターの相場をよく知らず、『2000文字を20記事書いて、報酬は1000円』という案件を受けました。『ライター専門学校に通わず、初心者なのにお金も貰えるなんてラッキー!』ぐらいに考えていましたが……」

時給は8円以下、一文字書いても0.1円以下

 田中さんは1年間、勉強のためと上記の仕事を続けた。確かに文章力は上がったが、現在でも2000文字の1記事を書き上げるのに6時間は掛かる。時給に換算するとなんと8円以下だ。彼女の記事は人気俳優が広告塔になっている大手転職サイト等に使われていることを考えると、もっと原稿料を支払っても良さそうだが……。ただ、クラウドソーシングサイトで評価が高まったためか、彼女のもとに“出版社を名乗る人物”から「電子書籍を執筆しませんか?」とオファーが来たのだ。 「大手ではなく電子書籍を中心に販売・プロデュースを行っているという個人出版社でしたが、私はもう天にも登るような気持ちでした。私の“派遣事務職の裏事情”をテーマに書けるそうで、本業でも大変なのに、睡眠時間を削り約半年間をかけて1万字近く書き上げました。そして出版したんですが、契約が“買い取り”だったんです」  本来、作家の報酬は、書籍を刷った部数による“印税契約“が多い。多くの書籍は著者に販売価格の10%程度の契約だが、彼女は初心者故に舐められてしまったのか、書籍の権利を出版社側がぜんぶ持つ“買い取り”契約をしてしまったのだ。その金額、わずか1000円。 「私の書いた電子書籍、出版から3年近く経ちますが、いまだにamazonのランキングでは順位が上がることも多く、売れているのはわかります。同じ程度売れている大手出版社の書籍は“重版”と書かれていたので、少なくても数十万…いや100万円以上はうりあげているはず。でも、全部出版社側の丸儲け。一体その額は幾らになるのか……。私と同じように半分素人に書籍を執筆させて、売り上げを全部取るということを繰り返しているようです。最悪の搾取ですよ」
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寝ずに働いても月2万~3万円、でも辞められない…
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フリーライター。いわゆる「毒親」のもとで育ち、うつ病を発症したものの紆余曲折あってしぶとく生きています。家族、就労、ジェンダーなどの社会問題全般に興味あり。Twitter:@373_nemu

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