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「値上げ許容」発言で謝罪撤回に追いやられた黒田総裁の“功績”/倉山満

参院選、既に与党は「消化試合」の如く、鼻歌交じりだ

 参議院選挙が終わるまで絶対に何も決断しないと、断固たる信念で決断している岸田文雄首相。そんな岸田内閣が高支持率だ。民主主義である以上、多数の国民が岸田内閣の存続を望む以上、やむをえまい。ただし、地獄に道連れにされるのは真っ平御免なので、己が正論だと信じる言論を説いていくしかない。
日銀の黒田東彦総裁

黒田東彦総裁は、景気回復に向けて金融緩和を粘り強く継続する日銀の方針を示す中で発した家計の値上げ許容発言について、翌7日「誤解を招いた」と謝罪した 写真/産経新聞社

 それにしても愚論の多いことよ。  昨年の衆議院選挙で枝野幸男とその徒党を放逐したまでは良かったが、油断したか。野党は半年以上、何の準備もしないまま参議院選挙を迎えようとしている。既に与党は「消化試合」の如く、鼻歌交じりだ。

野党のパフォーマンスの裏に、悪意を警戒すべき

 国会会期末恒例の内閣不信任案に合わせ、細田博之衆議院議長にも不信任案を提出した。やれ「議長のくせに選挙制度に注文を付けた」だの、「女性記者にセクハラ的言動を繰り返した」だの、ワイドショーや週刊誌に受けそうなネタで叩いている。そんなパフォーマンス、野党の票につながらないだろうに。  ただし、そうした野党の行動の裏に、悪意を警戒すべきだ。衆議院議長と言えば、皇室問題のとりまとめ役だ。その議長の愚にもつかないスキャンダルを騒ぎ立てる。事実かどうかド~でもいい。また、不信任案など可決されるはずがないから、これもド~でもいい。「そんな人間に皇室問題を仕切らせてよいのか」とレッテル張りができれば。  仮にこのまま岸田自民党が参議院選挙で圧勝すれば、秋には皇位継承問題に本格的に着手するはずだ。自民公明の与党に加え、野党の日本維新の会と国民民主党は、この問題では理解がある。立憲民主党の一部に巣くう女系天皇固執派が何を喚こうが、政府案は通る。細田議長への攻撃は、こうした状況を踏まえた陰謀だと、警戒した方がよかろう。
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黒田総裁を叩いている連中は、恩知らずにもほどがある
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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