日本一の繁華街、歌舞伎町をほろ酔いで彷徨うと、小腹が空いてきた。なにか腹に入れて帰ろうかと思っていると、最近ホストが始めたという寿司屋が目に留まった。
「話のネタに」と入ろうと思ったがアゲアゲな雰囲気に気後れし、しっぽを巻いた。マグロ王が両手を広げた店を覗くと、インバウンドの外国人客で満員。立ち食い蕎麦でいいかと、暖簾をくぐろうとした瞬間、浴衣姿の女のコが胸に抱く手書きのボードが目に入った。話を聞けば「お寿司食べていきませんか」と言うではないか。
朝どれ、新鮮な魚を女のコたちが握る
女のコに手を引かれるように立ち食い蕎麦屋のビルを上がると、スナック然としたエントランス。
「みなとまつり開催中!」とかわいい文字で書いてある扉を開けると、「いらっしゃいませ~」と黄色い声が聞こえてきた。
「ここは女のコだけのお寿司屋さんなんです。毎日、静岡の沼津港から朝どれの新鮮なお魚を仕入れているんですよ!」カウンターに座ると、目の前でネタを用意してくれたのは乃愛ちゃん。いかつい大将が出てきて握り、女のコはお運びなんかをするものだと思っていたら、この店の“花板”乃愛ちゃんが握るという。
ピチピチ新鮮な私たちとお寿司で楽しんでね!
「沼津の地魚のまとう鯛、ミナミマグロの大トロ、そして今が旬の生カツオがおすすめです」
富山の日本酒をちびちび舐めながら、手つきを拝見するとマイペースながらも堅実な仕事ぶり。
「銀座の会員制寿司店の総料理長の先生から教えてもらっています。私は数か月前から“弟子入り”して、ようやくお客さんの前で握れるようになりました」そうはにかむ乃愛ちゃんの手つきをツケ場で食い入るように見ていたもかちゃんは2か月前の入店。寿司はおろか、料理もしたことなかったのが、今や大の寿司好きになったのだとか。
旬の魚を心を込めて握ります!
「実はココに入って初めてお寿司を食べたんです。こんなにおいしいものがあるのかと感動して。今は、お客さんに出せるよう握りの修業の毎日です」
そんなもかちゃんには、女のコドリンクならぬ、女のコ寿司を注文しプレゼント。ここには職人を育てる楽しみもあるのだ。
先生からは上達が早いと言われているというもかちゃん。「寿司屋に長い修業は要らない」と持論を展開する向きもあるが、寿司を握るだけなら若い女のコでも十分可能なのではないか。
白くふっくらとした手で握ったミナミマグロの大トロは舌の上でトロけ、甘みが広がる。小腹も心もすっかり満たされた夜だった。
【海鮮寿司ガールズバー】
住:東京都新宿区歌舞伎町1-4-8 RanZanビル3F
電:070-4327-7133
営:18~24時
休:日曜
料:3500円~(1セット60分飲み放題・寿司3貫つき。女性半額 ※税・サ込み)
●初回のお客様に限り1セット(60分)2500円飲み放題
撮影/渡辺秀之 協力/O氏(夜遊びガイド)
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苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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