「魔都」と呼んでいいほど訪れるたびに新しく、怪しく、風変わりなものを見せてくれる大阪。そんな魔都にあるオタクの街が日本橋だ。「大阪のアキバ」といわれる場所だが、ミナミと通天閣の間にある通称「ヲタロード」はメイドカフェの横に赤提灯があったり、諸先輩方が路上で酒盛りしていたりと、東京とはひと味違ったイナタイ雰囲気を醸し出している。
「インバウンドで盛況なミナミの市場調査をする」とうそぶく夜遊びガイドのO氏が俺を待っていた。
タピオカドリンクを飲みつつ、呼び込みのメイドを冷やかしていると、なにやらおどろおどろしい看板が。屋号はドロドロに溶け、その下には「漆黒の闇で生贄になんかならない」とのキャッチコピー。果たして何の店なのか……。
暗闇に浮かび上がるゴシックな女のコ
妙に煤けたビル。氏によればここは、昔から怪しげなテナントが入る名物ビルとのこと。
異様に遅いエレベーターに乗り込み、看板に書かれた6階へ。ゴトリと音がして、ドアが開くと漆黒の木の扉がある。恐る恐るドアを開けると、真っ暗。目を凝らすと顔をモチーフにしたレリーフが浮かび上がる。お化け屋敷系には弱い俺。横には血塗られた文字で「コノトビラ開ケルベカラズ」と書いてある。その反対側にはカーテンが。そうっと開けると大声が。「汝。魔王サタンにタマシイを捧げよ!」「捧げよ!」女のコたちのドスの利いたコール・アンド・レスポンス。
「ここは関西初の魔界コンセプトのカフェバーで、悪魔の使い手である女のコ、“使い魔”が客と契約を結ぶ異世界です」漆黒の魔界へと誘う、妖しい使い魔たち
いささか面食らう俺に丁寧に説明してくれたのは人間界で言うところの店長である「サタン」の蓮さん。サタンが契約した使い魔(女のコ)を使って、人間たちを生け贄にしようということらしい。
天井からはゾンビが顔を覗かせ、藁人形が飾ってある。
さっそく「デビルスターの烙印」と名付けられたドリンクを注文。いちごとベリーが浮かんだ真っ赤なカクテルだ。そっと手を取られたかと思いきや、次の瞬間、手の甲に“烙印”を押された。青白く浮かび上がる魔界の紋様。おっさん2人は悪魔と“一夜の契り”を結び、下僕となった。
使い魔たちはニコリともせず、下僕に「誓いの盃」(女のコドリンク)を所望する。髑髏で形作られた杯と血塗られた杯を重ね乾杯。
みんな今いくつ? ひょっとして10万21歳? 世を忍ぶ仮の住所は? みんな大阪出身かいな?
おっさんにとって唯一の知りたる悪魔はデーモン小暮閣下だ。知識を総動員しつつ、関西ノリで話しかけると「……大阪市内です」とぼそっと返してくれる。
使い魔たちの“魔の手”に堕ちてゆく
サタン曰く「オープンしたてでコンセプトを熟知していないコも多い」とか。関西の客はこれらの設定をツッコミで壊しにかかるから結構大変なのだと言う。
結局、悪魔の誘いに乗り大豪遊。かすかに見せる使い魔たちの笑顔の虜になっていった……。
【Cafe&Bar BloodyGOTHIC
漆黒の闇で生贄になんかならない】
住:大阪府大阪市浪速区日本橋5-18-24 日本橋5ビル6F-B
電:なし
営:17時~翌5時
休:火曜
料:850円~(チャージなし、1時間2ドリンク制)。「デビルスターの烙印」(1500円)、「誓いの盃」(1000円)
@BloodyGOTHIC_66でツイートを発信中
協力/O氏(夜遊びガイド)撮影/加藤 慶
-
苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
-
苫米地の他の記事