更新日:2022年07月24日 17:12
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【築地市場の豊洲移転問題】土壌汚染対策工事は完了していない!?

 新しい市場に生まれ変わるのだから歓迎ムードかと思いきや、意外にも水産仲卸業者から大反対運動が起きているのだという。築地でいま、一体何が起きているのだろうか?

国内最大規模の土壌・地下水汚染の土地に移転!

豊洲市場

東京ガスの跡地で工事が進む豊洲市場。’07年に土壌汚染問題が持ち上がり、都知事選の争点にもなったが現在はあまり触れられなくなった

 豊洲市場がある場所はかつて東京ガスの石炭を原料とする都市ガス製造工場があった。製造工程で有害物質が副生されたせいで、敷地土壌と地下水が汚染されてしまったのだ。豊洲の土壌・地下水汚染に詳しい日本環境学会会長の畑昭郎氏が言う。 「’02年の東京ガスの調査では、土壌溶出量ベースで環境基準の1500倍に上るベンゼン、490倍のシアン化合物、49倍のヒ素、24倍の水銀、9.3倍の鉛、1.4倍の六価クロムなどが見つかりました。これだけでも大変な汚染ですが、’08年に都が立ち上げた専門家会議で調査を行ったところ、さらに衝撃的な結果が出たのです。なんとベンゼンが土壌から4万3000倍、地下水から1万倍、シアン化合物は同じく860倍と、130倍も検出されました。国内で最大規模の土壌・地下水汚染です」  ベンゼンには発がん性があり、シアン化合物(青酸カリ)は猛毒。その他の化学物質も人体に悪影響を与えることで知られる。慌てた都は対策として地盤面から2m下の土壌を入れ替え、なおかつ2.5mの盛り土を実施。地下水も環境基準まで浄化する工事を行った。現在、都は「豊洲市場の汚染は存在しない」とのスタンスだ。  だが畑氏は、対策工事は不完全でリスクは大きいと警告する。
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汚染対策をすれば、用地取得以上の費用がかかる
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