「選挙に行くな! そして日本は中国に朝貢せよ!」 外山恒一の主張をあなたはどう思う?

 混迷を極める、現代ニッポン。果たして何が正しく、何が誤りなのか……。一見、異端に見えても、それがたちまち正鵠を射るときがくる。さまざまなジャンルの論客たちが、既存の常識、価値観を揺さぶる!

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外山恒一氏

 アメリカ大使館前に迷い込んだ“ニセ選挙カー”はおもむろにこう街宣しだした。

「アメリカ様、民主主義ありがとうございました。もういりません。選挙反対、目指せ投票率0%。外山恒一がアメリカの皆様に民主主義をお返しにやってまいりました」

 7月に行われた東京都知事選挙の期間に、都知事選とまったく無関係に展開されていた外山恒一氏の「ニセ選挙運動」のひとコマである。

 外山氏がその名を世間に馳せたのは、今をさかのぼること9年前の東京都知事選挙に“本当に”立候補したときのことだった。「選挙で何かが変わると思ったら大間違いだ!」と「政府転覆」を訴える彼の政見放送は大きな話題となり、今も動画サイトで再生され続けている。そのインパクトから「頭のおかしい元泡沫候補」「色モノ政治活動家」と思われがちな彼だが、実はその主張は一貫している。

 今回の「ニセ選挙運動」では街宣車を“選挙カー風”に仕立て上げ、「外山恒一がついに帰ってまいりました。帰ってきただけです。立候補はしていません。みなさんが選挙に行くから、誰かが当選してしまうんです。東京に知事はもういりません」と17日間、「選挙ボイコット」を訴えてまわった。

 期日前投票があるので選挙戦が始まった瞬間に「投票率0%」なんてあり得ないなどのツッコミがすぐに頭をよぎるが、実は外山氏の本意は別のところにある。

「別に選挙に行きたい人は行けばいいと思いますよ。でも、選挙は多数派のお祭りであって少数派が選挙で勝つことはありえない。だから我々少数派が『社会を変えたい』と思ったならば、選挙に頼らない方法を自由に発想しなくてはいけない。そのためにはまずは選挙を相対化しなくてはいけないわけですが、『ニセ選挙運動』はそのきっかけを提示するためのパフォーマンスであり、運動ということです」

 だが、選挙以外の方法とはいったい何なのか? 答えは「リベラルではないラジカルな学生運動の復興」である。

「左右を問わず、穏健派で『これまで選挙に期待して頑張ってきたけど、全然ダメだ』と思い始めている人たちに呼びかけているんです。選挙に勝てなくても、そういう選挙に絶望した人たちが集まればいい。政府が対応に困るような学生運動が盛り上がらないことには、変革は始まりもしない。それが国会で野党を勝たせようみたいな、政府の想定内の運動だとダメで、幕末や’60年代のように政府が想定していないことをしないと。歴史上、社会が激動したり変わったりするときって若者が騒ぎだすのが普通ですからね」

 外山氏本人も若かりし頃は他人が主催するイベントの“粉砕”を試みるような極左の過激派だったが、自称「良いファシスト」に転向後の活動はそこまでは過激に見えない。だが、「直接暴力的に見えなくても、人々を扇動する知恵を身につけたわけですよ。いざ若者が暴れ始めたら、『若い連中は血の気が多くて止められませんからなぁ』って言おうかな(笑)」とうそぶく。このどこまで本気かわからないユーモアも外山氏の魅力のひとつである。

次ページ左右のシンパにすら評判の悪い親中路線

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