ニューハーフ天国のタイ、その理由は性転換手術の激安&技術水準にあった
少し前にニューハーフのムエタイ選手が日本でも話題になったが、タイはニューハーフ(※タイでは彼女(?)らのことを「レディーボーイ」と呼ぶ)が非常に多い。
タイ在住が長い日本人男性の間では、「女の子に出会った際には、かわいいかかわいくないか、を見るのではなく、まず男か女かを見極める努力をしてしまう」なんて言葉もあるほどだ。
なぜタイだけレディーボーイが多いのか。これは性別適合手術(性転換手術。以下SRS)の第一線で活躍するガモン・ホスピタルのガモン先生からしても把握できていない事実だという。
これだけレディーボーイが多いとなるとその世界の方々からも注目を浴びるようになるわけだが、事実、タイのSRS技術は世界トップレベルだ。事例があまりにも多いため、必然的にノウハウが蓄積され、最高水準の技術が確立された。余談だが、タイでは女性が夫や恋人の性器を切断する事件も多いため、切り落とされたモノを縫合する技術も高い。
もちろん、実力もさることながら手術料金もまた安いため、世界各国からたくさんの性同一性障害の人々が訪れる。以前は激安レベルの病院もあったようだが、術後2~3日程度で退院させるというハードなスケジュールで病床を回転させ、退院後に手術部位が膿んでしまうなどひどいケースが続発。度重なるクレームでその病院は入院日数を延長してその分値上げに踏み切った。そのため、タイSRSの相場は平均化され激安イメージは過去のものになったが、それでもまだまだ安いのは事実。
果たして実際にいくらくらいかかるのか、先のガモンホスピタルの例で紹介しよう。ただし、体型や部位の形状などで料金が変わってくる場合もあるので、あくまで参考として見てほしい。
まずSRSの中でも一般的であると言われる「陰嚢皮膚移植法」。これは尿道と直腸の間を切り隙間を作り、そこに海綿体、陰茎、精巣を除去した陰嚢の血管を残した皮膚を移植して膣を作る手法。亀頭の一部を移植してクリトリスまで作れるという。この手術は約29万バーツ(約75万円)。日本の病院ではほとんど同じ手法のSRSは平均で130万円もするようだ。渡航費を考えてもおつりが来る計算になる。
日本ではあまりポピュラーではない「S字結腸法」もタイでは40万バーツ(約103万円)で受けられる。これは大腸の肛門側にあるS字結腸を少し切り取り膣を作るもので、セックス重視に用いられる手法だ。日本では「陰嚢皮膚移植法」ができない場合に用いられるケースが多いようであるが、費用は150~200万円もする。
タイも日本と同様にSRSを受けるには2名以上の専門家による診断書などが必要となる。
また、タイには男性になりたい女性も多いのだが、不思議と女性から男性へのSRSは少ないという。逆に日本からは男性→女性よりも、女性→男性のケースが多くなってきているようだ。
このガモン・ホスピタルのガモン先生はタイSRS界の大御所とも言われる人物。病院の受け入れからアフターケアも万全で、ホテル並みの滞在が可能。そのうえ日本人経営の代理店もあり(手術費のほかに要アテンド料金)言葉の不安も解消されるため、日本人手術希望者は後を絶たないという……。
取材協力:タイランドSRSガイドセンター
<取材・文・撮影/高田胤臣>
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