話題の「ジャーサラダ」で“食中毒”を心配する声。野菜での死亡例も…
今や女性誌、生活情報誌で毎月のように取り上げられている「ジャーサラダ」をご存知だろうか。そんなジャーサラダに、Twitterなどインターネット上では“食中毒”を心配する声が広がっている。
「ジャーサラダ」はニューヨークで一大ブームを巻き起こし、昨年頃から日本でも話題を呼んでいる作り置きのサラダである。「メイソンジャー」という密閉性に優れたビンに、色とりどりの野菜を重ねてビン詰めにしたその見た目が「おしゃれ」で「かわいい」と女性の間で評判なのだ。
しかし、ここは高温多湿な日本である。ブームに火がついた秋から春のシーズンにかけては問題にならなかったが、食中毒のリスクが格段に高くなるこれからの季節は、取り扱いに細心の注意が必要だ。
細菌は生育に適した栄養分、水分、温度の3要素のもとで増え続け、一定の数以上の菌数になった食品を口にすると食中毒が発生すると言われている。かつて岐阜県では、小学校給食の「おかかサラダ」から集団食中毒の原因となるO157が検出されたことがあった。厚生労働省「平成18年 食中毒統計調査」によると、日本では4月から8月にかけて細菌性食中毒の事件数はおよそ3倍になっている。
⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=847677
「食中毒」と聞くと、多くの人は魚介類や生肉を思い浮かべるだろう。しかし、同省の「平成26年 原因食品別食中毒発生状況」によると、「野菜」による食中毒患者数は年間746人で、「魚介類」の1,134人や「肉類」の1,567人と比べても決して少なくないことがわかる。実際は野菜での食中毒が珍しいものではなく、残念なことに死者も出ているのが実状だ(※1)。
もちろん、食中毒のリスクを最小化することはできる。細菌は熱に弱く、65℃以上に加熱されるとほとんどの菌は死滅すると言われる。ジャーサラダの場合は、メイソンジャーと呼ばれるビンをしっかり「煮沸消毒」することだ。
目安として、沸騰したお湯が100℃ならば30秒間、90℃以上ならば5分間以上、75℃以上ならば15分間以上(※2)というのが煮沸消毒のポイントで、菌が付着するため消毒後にふきんを使用するのも厳禁だ。ビンをしっかりと干して乾燥させれば、食中毒のリスクは大幅に軽減できる。もちろん手洗いは忘れずに。
「おしゃれは我慢」とはよく言ったものだが、食中毒のリスクを我慢するわけにはいかない。ジャーサラダに限らず、今年の夏を健康で過ごすために、まずはしっかり基本のルールを意識することが大切だろう。
※1.厚生労働省「食中毒統計調査」: http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/112-1.html
※2.三重県「細菌性食中毒の予防と対策」: http://www.pref.mie.lg.jp/WHOKEN/HP/syokutyudoku/p03.pdf
<取材・文/北村篤裕>

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