そのうつ、実は天気のせいかも…本当は怖い「天気痛」

「雨が降る前は片頭痛が悪化する」「低気圧が来ると、昔ケガをしたところが痛む」など、これらは気象の変化によって持病が悪化することを指すもの。昔から天気と人の体調には相関関係があるが、近年、大型台風の増加などの異常気象により、天気痛を訴える人が増えているとう。

 しかも実は、「天気痛」という言葉の名付け親でもあり、愛知医科大学病院で「天気痛外来」を開設している医師の佐藤純氏によると、頭痛や関節痛だけでなく、うつや不安症、不眠症といった心の病気も、天気の変化に左右されるのだそうだ。

そのうつ、実は天気のせいかも!? 本当は怖い天気痛「気圧が上がったり下がったりすると、自律神経が乱れ、不調が生じるのが天気痛のメカニズムですが、『心の不調』といわれる諸症状も、気圧の変化に大きく左右されます。例えば、最近増えている新型うつ。また、心の中にもやもやとした感情を抱えている不安症、人と話をするのが得意ではない、過去の出来事にショックを受けて引きずっている、パニック発作など、広範囲に及びます。重症患者さんじゃなくても、天気の変化が激しい春、梅雨、秋などは、『何故か気持ちが落ち込む』『だるくて起き上がれない』となる方は多いです」(佐藤氏)

10年以上も悩まされていたうつが、ある日突然……


 これを裏付けるような、実際の診療例がある。原因不明のうつが、実は気圧由来だったというケースだ。

 佐藤氏の診療室の門をたたいた50代のある男性は、10年以上も原因不明のだるさやうつ的な症状に悩まされていた。その男性は理科系の研究開発をしており、仕事の内容は緻密さを要求される厳しいもの。産業医からの診察を受けて休職したものの、復職してもしばらくするとまた心身の不調が起こり、10年のうちに5~6回休職と復職を繰り返したという。

佐藤純氏

愛知医科大学病院で「天気痛外来」を開設している医師の佐藤純氏

「そのうち、自分の症状が『天気にも左右されているのではないか』と思うようになったのだそうです。というのも天気が悪い日は、あからさまに起き上がれなくなってしまう。産業医や精神科の先生にそう訴えたものの『まあ、天気も関係あるんだろうが、今のところは天気にはなすすべがない』と言って、睡眠薬や精神に作用する薬、内科的な症状に合わせた薬を処方してもらうしかなかったそうです。そして薬を服用していても、特に劇的な改善がないまま月日だけが過ぎていきました」(佐藤氏)

 そんなある日のこと。テレビで佐藤氏が天気痛について解説しているのを見た男性は、「自分の症状はこれなんじゃないか!?」と思い当たった。

「私がテレビで紹介した『天気痛には、内耳の働きをおさえる酔い止め薬が効く』という方法をとりあえず試してみようと、これから具合が悪くなりそうだなと思ったときに、市販の酔い止め薬を飲んだそうです。すると、モヤモヤ・うつうつとしていた頭が、みるみるうちにパーッと明瞭になって、驚かれたそうです」(佐藤氏)

 この経験によって、男性は「自分のうつは、内耳に関わる天気依存の症状に間違いない」と確信。その後、医師の紹介で佐藤氏の外来を受診したが、その時点でうつはかなりラクになっており、「復職できます」と笑顔を見せていたという。

「私の外来に来るのは女性のほうが多いですが、男性も潜在的な患者さんがいると思います。特に働き盛りの男性は、具合が悪くても我慢する傾向にあります。原因不明の体調不良に悩まされるようになったら、『自分は天気痛かも』と疑ってみることが大切です」(佐藤氏)

【佐藤純氏】
愛知医科大学病院で「天気痛外来」を開設。著書に『天気痛を治せば、頭痛、めまい、ストレスがなくなる!』などがある。

<取材・文/日刊SPA!編集部>

天気痛を治せば、頭痛、めまい、ストレスがなくなる!

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