満員電車のストレスを劇的に軽減させる方法
多くのサラリーマンにとって避けては通れぬ「満員電車」。逃れようのない通勤地獄に辟易している人々を救うべく、満員電車をラクにするスキルを有識者へ徹底取材。正しい乗車法や心構えの秘策で、満員電車をうまく乗りこなすべし!
電車に乗った際、「できることなら座りたい」と考える人が大半だろう。
だが、自らの過酷な電車通勤体験をベースに「電車通勤士」としての心得、作法を説く田中一郎氏はそんな考えこそが無駄なストレスの原因だと語る。
「若い頃は私もやっぱり座りたくて、いつも座席に目を光らせていました。でも、『コイツは降りるだろう』と思っていた客が降りなかったりすると、そこでまたストレスを抱えてしまうんです。ただでさえつらい満員電車内でさらにストレスを上乗せするなんてとんでもない。ですので今は『空いていたらラッキーだ』程度に考えて、座席を追うことは一切しないようにしています。そのほうが精神衛生的にも健全な状態を保てますから」
このように、電車内での時間を少しでも快適なものにするためには、ストレスを溜めない“心構え”が重要なのだという。下に挙げる正しい乗車法も、ストレスを軽減するためのひとつのツールだ。
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1015457
●乗り込み…乗車時は後ろ向き姿勢が基本。背後を目視しつつ、カカトからすり足気味に踏み入る。このとき、横幅がある腰部分を他の乗客の太腿あたりまで下げると入っていきやすい
●体勢の回復…次はスペースを広げる作業。安定できる両足の位置を、他人の足を踏まぬようすり足で確保。その後、「乗り込み」で下げていた腰を一気に上げ、体のためのスペースを確保する
●空間の確保…スペースを確保しようが、乗車前は内側からの圧力がかなり強い。ドアが開いているときは決して無理はせず、ドアが閉まる際の力を利用して一気に体を中に押し込めて完了
「電車が動き出した後も、『今この時間を有意義に、能動的に使えている』と思うことでストレスは軽減されます。吊り革に掴まって握力を鍛えるなど、トレーニングの時間に充てるのもひとつの手です。そのほかにも、吊り革に掴まった腕から見える高級腕時計でドヤ顔してみたり、吊り革に掴まっていない乗客たちが倒れ掛かってくる重みを一人で耐えて『俺がコイツらを支えてるんだ』というヒーロー気分に浸ってみたり……。たまに同じことを考えて踏ん張っている乗客と目が合ったりするんですけどね(笑)。こんな些細なことでもいいので、気の持ちようを変えてみるといいでしょう」
さらに、田中氏によると、ストレスをより軽減させる“もう一歩上”の作法があるという。
「“自己完結して周囲に影響を与えない”というのが電車通勤士のポリシーのひとつなんですが、それと同時に周囲の人の状況にまで気を使うことができればなおベターです。長年満員電車に乗っていると、痴漢する乗客ってすぐにわかるんですよ。目線はターゲットにロックオン、そして鼻息は異常に荒い。そんな男がいたら、痴漢と女性の間にカバンをさりげなく差し込んでブロックするようにしていますね。そのほかにも、乗降時はとにかく『譲る精神』でスマートに相手を気遣う。そんな余裕を持った立ち居振る舞いの積み重ねが、ストレス軽減、ひいては『いいことしたな』という精神的な満足度にもつながっていくんです」
下記の「降りそうだ」と誤解を与えがちな行動も相手への気遣いの一例だ。こうした心構えや作法を身につけた乗客がもっと増えていけば、地獄のような満員電車も少しずつ快適なものへと変わっていくはずだ。
◆「降りそうだ」と誤解を与えがちな行動
1.読んでいた本、雑誌を閉じる
本を読み終えて閉じると、「降りる準備をしている」と捉えられがち。
新聞を畳む、開いていた手帳を閉じるなどの行為も同様だ
2.窓からホームを覗く
キョロキョロとホームを覗いて駅名を確認する行為は目的地に着い
たのだと認識されがち。可能な限り車内アナウンスに耳を傾けたい
3.スマホをしまう
スマホをしまう行為も、本や雑誌と同じく「降りる準備」として受
け取られる。また、電車の中ではマナーモード設定がマストだ
<まとめ>満員電車を楽しむ極意
1.「座りたい」という気持ちはストレスのもと
2.時間を有効活用する術を見いだすべし(妄想も可)
3.周囲を気遣う心で精神衛生もクリーンに
【田中一郎氏】
往復平均4時間以上の電車通勤を約30年続ける「電車通勤士」。過酷な通勤体験から生まれた理論をまとめた著書『電車通勤の作法』(メディアファクトリー)が発売中
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