コミュ障の姉が大道芸人になるまで――謎多き実姉妹アーティスト、チャラン・ポ・ランタン
上野公園などで大道芸人として音楽を披露しながら、地道に実力と人気をつけてきたチャラン・ポ・ランタン。2009年7月から活動を開始し、アコーディオンを弾く姉・小春と、ボーカルを担当する妹・ももの姉妹ユニットだ。YouTubeの動画が爆発的に拡散し、特に海外で抜群の人気を誇る彼女たちの音楽は「オルタナティブ・シャンソン」と評され、著名人からの熱い声援も多い。二人三脚で歩んできた謎多き実姉妹の“これまで”と“これから”を聞いた。
姉・小春と妹・もも。5歳離れた姉妹が実家の一室でチャラン・ポ・ランタンを結成したのは’09年7月。実はこの姉妹、結成当初からYouTube動画が海外で大きな反響を呼び、ピンク・フロイドのイベントに誘われたり、ツイッターのジャック・ドーシー会長が唯一フォローする日本人アーティストだったりと、海外から熱視線を浴びてきたユニットなのである。
――ユースケ・サンタマリアさんや松井玲奈さん、チュートリアルの徳井義実さんら、お二人のファンを公言する著名人も多いですよね。
小春:ありがたいですね。チュートリアルさんはライブの出囃子で私たちの歌を使ってくれていて。それでツイッター上でお礼を送ったのが、徳井さんとの交流の始まりですね。
もも:そこからパーティでお会いするようになり、実際にチュートリアルさんの舞台の出囃子をオリジナルで作るようになりました。
――小春さんはアコーディオンを弾き、ももさんはブタのぬいぐるみを持って歌う。このパフォーマンスはどのようにして生まれたのですか?
小春:最初のきっかけは、7歳のときに家族で見たサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ」でした。幼心に「アコーディオンを弾きたい」「サーカスの団員になりたい」と思って、その年のクリスマスにサンタさんにおねだりしたんです。そしたら枕元に、子供用のアコーディオンがあって。
もも:小春の小学校の担任の先生が、アコーディオンが趣味だったのもいい影響を受けたよね。
――それからはひたすら練習を?
もも:その頃、一人で黙々と練習していた姉の姿が記憶にあります。ただ、小春は学校で人間関係がうまくいかなくて、転校することになって……。だから、なおさらアコーディオンが友達だったんじゃないかな。
小春:10歳で転校して、そこでまた運命の出会いがあったんです。転校先のクラスにアコーディオンを習っている男の子がいて、自分の発表会にクラスメートを招待してくれたんです。それからなんとなく話すようになって、一緒に音楽教室に通い、そしてなぜか私も発表会に参加することになって。
――アコーディオンに運命を感じますね。
小春:異常ですね。我ながら「この時代に、アコーディオンに出会う確率、高すぎないか?」って思います。通っていた教室もおじいちゃんやおばあちゃんばっかりだったし。
小春:私は相変わらず人が苦手だったので、「なるべく人と会話をしないで仕事しよう。でないと生活できない」と10歳で思い詰めるようになって。それならサーカスの団員より、大好きなアコーディオンを路上で弾いてお金をもらえるといいなって。それでたどり着いた答えが、「大道芸人」でした。それなら看板を立てて缶を置いておけば自動的にお金が入るし、終わったら段ボールの部屋に戻ればいいと考えていました。大家さんに部屋を借りるのも嫌だったんです。賃貸契約などで人とのやりとりが発生するから。当時はホームレスになるってイメージしてたなぁ。
もも:小春は今でこそこんなに喋るし、新宿のゴールデン街のバーで時々スタッフとしてお客さんを盛り上げているけど、昔は本当に無口で、家族とも「うん」「そう」くらいしか話さないコミュ障な人だったんです。
――そのコミュ障が克服されたのはいつ頃なんですか?
小春:17歳のとき、東京都による「ヘブンアーティスト※」という大道芸人のライセンス制度を知り、頑張って取得しました。そこから徐々に変わっていったと思います。
※「ヘブンアーティスト」東京都による大道芸公認制度。またはそのライセンス保持者のこと。合格すると、上野公園や日比谷公園など都が指定した場所で音楽やパフォーマンスの活動ができる。小春は17歳で取得し、上野公園を中心にさまざまな場所で演奏してきた
もも:実はそれはお母さんが調べて教えてくれたんです。でも小春に直接勧めても反発するのが目に見えていたから、お母さんが家族共有のパソコンのブラウザに「ブックマーク登録」して、自分から見るように仕向けていたんです。
小春:私はまんまと引っかかり、クリック(笑)。そして晴れてヘブンアーティストになると、17歳で大勢の前でショーをすることに。この一回のショーでお金をもらう術を覚えないと生きていくことができないと思い、恥も外聞も捨てましたね
※このインタビューは1/19発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
<取材・文/桜田容子 横山 薫(本誌) 撮影/増田岳二>

食べるために大道芸人の道を決意した10歳
![]() |
『週刊SPA!1/26号(1/19発売)』 表紙の人/ 武井咲 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
【関連キーワードから記事を探す】
「不老不死を目指してます」東大在学中に起業で6億円を手にし、大阪万博にアートを出品…28歳“天才”の頭の中
「新歓で受けた悪質なドッキリ」にげんなり…国立大を1年で休学した男子学生が、東京藝大に通うまで
「歌で世界に光を届けたい」海外を席捲する日本人女性シンガーの“揺るがぬ信念”
10年1万本のうち「満足いくのは十数本」。世界的オカリナ奏者68歳が語る、妥協しない考え方
ユニクロ「UT」1500円で買えてしまう最高峰のグラフィックTシャツ
“コミュ障”だから成功できた?中卒1億円大家さんが「友達がいない学生時代でよかった」と思う理由
ブサイク&コミュ障でも、No.1ホストになれた理由
「高速音読」は頭がよくなってコミュ障も改善? 速読芸人・ルサンチマン浅川
東大生が考える「他人の気持ちに目を向けた方がいい理由」
「問題を解決したいときには他人を巻き込むべき」ベストセラー東大生作家が提唱
岸明日香もMCで登場!深田えいみ、七沢みあ、安藤笑、佐々木萌香、三橋くんにミスSPA!グランプリ・山本栞も参戦「近代麻雀水着祭」GWの埼玉で3日間開催
あのん & 志田音々と「このあと、どうする?」 ローソンムック『旬撮GIRL Vol.13』が大好評!
『旬撮GIRL Vol.13』好評発売中! 池本しおり & もも 誌面カットを大公開!!
令和のグラビアクイーン・沢口愛華が表紙を担当! 『旬撮GIRL Vol.13』発売決定!!
『旬撮GIRL Vol.12』発売! “魅惑のバズーカ”・HARUKA & ミスSPA!・山本栞 掲載カット公開
交通事故で「意識不明の重体」から生還した28歳女性。障害を持っても“くじけない”理由
熊切あさ美、芹那…熱愛スクープされちゃった女性タレントたちの今
「メダルゲームは究極の暇つぶしです!」 “シンガーソングラドル”藤田恵名が意外な趣味の魅力を語る
のん「当たり前に日常を送ることで戦っていた」――能年玲奈から改名した彼女が、待望の復帰作を語る
一夫多妻制アイドルの元カノ暴露で炎上! 人生芸術家・ひさつねあゆみの本当の狙いとは?
「ノーブラで渋谷を歩く…」雑誌の企画がきっかけで、爆乳AV女優になった女性のその後
黒木渚のアルバムをモチーフにした映画『うつろいの標本箱』制作秘話。原曲者・黒木渚、監督・鶴岡慧子、主演・櫻木百…女たちそれぞれの思い
「私がコンビニの店長なら朝礼はちゃんとしたい」芥川賞作家・村田沙耶香が語る“コンビニ愛”
クレクレ女子は不幸になる…傑物に愛される近道は“金に負けない心意気”【西原理恵子×花房観音×生島マリカ】
「“くれくれ女子”は幸せになれない」婚活女子に教えたいサバイヴ法【西原理恵子×花房観音×生島マリカ】