3億円の謎融資、1億円のマンション購入…“トンパチ”と言われる男・崔領二【最強レスラー数珠つなぎvol.4】
――なぜ格闘技の道へ?
崔:当時、母親から日本のスポーツ誌をたくさん送ってもらっていたんです。その中で、プロレス雑誌にピンときたんですよ。『羊たちの沈黙』を観たときのように。成績も優秀だったし、ロンドンの映画会社でアルバイトもしていたので、そこでやっていくことも出来たんですけど。でも大きいパイの中で、脚本というもので競わなくていいと思ったんです。いまじゃないと思ったんですよね。
――帰国後は、21歳でZERO-ONEに入団されます。なぜZERO-ONEだったのでしょうか。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1233474
崔:ジェラルド・ゴルドーが日本で試合をするとき、セコンドについたんです。そこでゴルドーが橋本(真也)さんに、「うちの弟子は190cm近くて、格闘技も強い。お前のところでどうだ?」と言ったらしいんです。それで橋本さんに呼び出されて、「やるのかやらないのか、いま決めろ」と言われて。断ろうと思ったんですけど、なぜか半分キレてるんですよ(笑)。あまりの圧力に「はい、やります」と答えました。その2日後、後楽園ホール大会でデビューしたんです。
――えっ! 2日後ですか?
崔:たぶん世界的に見ても、プロレス界の最短記録です(笑)。もちろん下手くそで、「あんなのデビューじゃない」と人は言うんですけど、公式には残っているんです。2001年の9月にプロレスデビューしたと。僕はやったもん勝ちだと思っています。
――その考え方は、きっといまに繋がっていますよね。
崔:結局、理屈じゃないんですよね。感性を大事にしたいんです。もちろん綿密な計算があってのことなんですけど。人生の岐路に立ったときに、そのチョイスって感覚でいいんじゃないかと僕は思います。成功しても失敗しても、背負うのは自分ですから。
――その後、「あいのり」に出演されました。ニックネームは「レスラー」。あいのり出演も感覚的なチョイスですか。
崔:21歳でデビューして、それなりに活躍はしても、28歳くらいになるとちょっとした答えが出てくるんですよ。高く売れる奴って、たぶん時間を要さないんです。なので、僕は実力がなかったという一つの結果なんでしょうね。飛躍できなかったんですよ。あるとき試合後に、やばいと思ったんです。華々しくイギリスに行って、輝かしい経歴でデビューをして、でもそこからいいポジションに行けるわけでもなく。そんな僕はいま、28だと。このままなんのブームを作ることもなく終わってしまうという危機感を覚えたんです。それですぐ、あいのりに応募しました。
――あいのりでどんなことを得ましたか。
崔:たとえば海外で戦争があったときに、専門家が評論しますよね。でも、その人はそこに行ったことはないじゃないですか。僕があいのりに出て思ったのは、自分の目で見たもの以外は話半分にしようということです。そこにはそこのルールがあって、考え方があって。僕たちがテレビで観たりすることって、やっぱりある程度、だれかに操作されたものなんですよ。テレビは「イタリアの青の洞窟が素晴らしい」とか言いますよね。でも実際に行ったら、大したことないんですよ。海がちょっと光っているだけで。自分の目で見たものだけを信じようと思いましたね、あいのりに出てから。
――ちなみに、あいのりでは恋愛に発展したんですか?
崔:その前に、番組が終わったんですよ。なんのために行ったんやろ、みたいな(笑)。
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■ランズエンド・新木場大会
【開催日】12月19日(月)
【開場時間】18:30
【開始時間】19:00
問い合わせ(株)エクスカリバー 03-6421-5921
■撮影協力:大阪ダイニング ナンノ
住所:東京都渋谷区桜丘町16-7鈴木ビル1F
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