雑学

自衛官はなぜ「トラック輸送」されるのか?<自衛隊貧乏伝説>



自衛官はなぜ「トラック輸送」されるのか?【自衛隊貧乏伝説】

※陸上自衛隊HPより

 なぜ、自衛隊はトラックで遠路をかけつけたのか?

 起こるか起こらないかわからない災害派遣予算を経年でもつことを、単年度使い切り予算しか認めない財務省は許さないからです。また、災害派遣を依頼した地方自治体が自衛隊の予算を補充することもありません。演習や訓練などで使うための予算をけずり、「訓練として」などの名目で防災対応予算を捻出する構造になっているわけです。

 だから、震災対応の震災地に向かうための旅費はどこからも出ません。

 熊本地震の記事で「1000kmをバイクで走って到着した」という話が美談として語られていますが、内情は予算がないために輸送費でしか移動ができないからケチって人の輸送もトラックでやっただけなのです。また、自衛隊員数が減らされ続けているために遠方の部隊の人員や資材を呼ばないと対処できなくなっているからです。

 振動を緩和することができないトラックの荷台での数日の旅をすれば、足腰に支障がでます。チェーンソーなどの腕の振動障害は有名ですが、全身振動によっても障害がおこることもあります。自衛隊員が有事に労災の適応外なのは軍人という性質上仕方ないことでしょうが、平時にただ、予算が足らないだけで激しい振動による移動に耐えていること。労災が起こっても適応除外される可能性があるとなると、奴隷じゃないんだからそんなことは許せないと考えるのがあたりまえです。

 防災・テロも1秒を争います。それですら、予算がないために遅れをとる始末。これがテロだったら多くの犠牲者がでたあとにやっと到着です。なんとも恐ろしいことです。

 毎年使い切り予算ではなく、非常時のために防災的観点でも、治安維持、侵略への対応などについても経年予算、積み残ししてプールできる予算形態を防衛省だけには認め、自衛隊員も人間として扱うために「旅費」の項目もつくってほしいと思います。

 演習のために一日中、山道をトラックの荷台に乗せられて走った自衛官Eさんは、『尻が痛い。座れない。立てない』と不用意に言ってしまうと叱られるので我慢することが身についています。だから、自衛隊はそんなものだと隊員はあきらめている。でも、若いうちは体に無理もきくが、ある年齢以降は仕事とはいえ本当にしんどい。泣けてくる」とぼやいていました。

 自衛隊の偉い人たちはそういう現場の隊員の愚痴を叱るのかもしれませんが、民間人の私たちから見ると明らかに非人道的です。自衛官だって人間です。オフロードバイクで1000km走行させるのはおかしい。軍人には敬意を表さないといけないのに、「これじゃ、食肉の輸送ですやん。ひどすぎぃ」と思うのでした。<文/小笠原理恵>

国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰
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