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政治アイドル・町田彩夏「AKB総選挙はCDを買わなければ投票できないけど、本物の選挙はタダです」

 高校2年生になると、18歳選挙権の実現を目指す「Teen’s Rights Movement(TRM)」を立ち上げ、与野党国会議員へのロビイングを展開し、昨年の参院選での投票年齢引き下げに貢献した。だが、18歳選挙権を巡っては、導入前、日本の大人は「子供が政治を語るな」と批判的だった。そして実現すると「選挙に行け」と態度を一変させた……。 「ダブルスタンダードですよね。昨年の参院選では、学校で教諭の政治的発言が禁じられ、高校生の政治活動が許可制にされたりしたけど、18歳になった瞬間に政治の知識が身に付くわけない。それなのに、知識や情報もないままに選挙に行けと言うわけです。日本の教育は有権者教育から目を背けている」  そして高校3年生のときには、女性の権利向上を目指す「女子高校生未来会議」を組織。現在は、ジェンダー平等を世界で訴える英女優を視野に“日本のエマ・ワトソン”を目指している。彼女が“政治アイドル”を標榜するのは、“政治×エンタメ”という入口を通して、政治に興味を持つ人を増やしたいからだという。 「政治家や評論家が小難しい話をする政治番組より、お笑い芸人や可愛い女の子が出ているほうが、より多くの人が観るじゃないですか。そのほうが、若者にもリーチできる」  そんな町田だからか、アイドルオーディションのPR動画では、立て板に水で意見を主張し、まるで政見放送だった(苦笑)。だが、アイドルの卵による“政見放送”は、図らずも“政治のエンタメ化”の体現となっていた。 「高校の生徒会選挙では、自分のマニフェストがどの程度支持されたか、得票数に数値化されるのが面白かった。中高6年間の生徒会活動で、選挙というシステムが大好きになったんです。演説で自分の声が届いていると実感できたときの充実感や、開票を待っているときのドキドキ感、応援していた候補がたった1票差で負けたときの悔しさ……選挙が好き!って言うと『変わってるね』と、少々引かれることもあるけど(苦笑)、私が選挙好きなのは、政治や民主主義といったお堅い理由より、案外、こうした肌感覚からなんですよ」  選挙は陣営がひとつの目的に突き進むことで、ある種の祝祭空間を現出させ、醸成されたカーニヴァル特有の熱気は人々を惹きつける。 「若者に馴染みがある選挙といえば、AKBの選抜総選挙。誰が1位になるのかはもちろん、ノーマーク的なコが一気に選抜入りしたり、有力視されていたコが圏外に落ちてしまったり、数々のドラマが生まれ、ハラハラドキドキしますよね。議員を選ぶ本物の選挙でも、こうしたワクワク感を味わうことができる、と私は思っています。  ただ、AKBなどのアイドルとは違い、政治家のことはよく知らないし、政治自体、一般には縁遠いのも事実……。だから、若者に政治を知ってもらい、日常で語れるようになれば、選挙も楽しめる。しかも、AKBの選挙はCDを買わなければ投票できないけど、(税金はかかっているけど)本物の選挙の投票はタダです!」  町田は、政治や選挙の楽しさを多くの若者と共有したいのだろう。“政治のエンタメ化”のための次の一手に注目したい。 ※週刊SPA!上杉隆連載「革命前夜のトリスタたち」より
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