更新日:2022年10月24日 00:59
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小池百合子・小泉純一郎“極秘”会談の中身――何も知らず小池劇場に引っ張り出された小泉元首相

“極秘会談”という話だったのに、マスコミが待ち構えていた

小泉小池会談

9月25日の小泉・小池会談は、マスコミにリークされていた(写真は2008年、小池防衛大臣の食事会でのもの)

「小泉純一郎元首相と小池百合子・希望の党代表(都知事)が9月25日に対談したのは、希望の党のエネルギー政策について意見交換するためではありませんでした。小泉先生が顧問をつとめる『原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟』(原自連)から、都知事への申し入れをするための会合でした。だから新党代表就任も原発ゼロ政策も、小泉先生は会談直前まで知らなかったのです」  こう振り返るのは、会談当日の事情を知るA氏だ。A氏はこう続けた。 「驚いたのは“極秘会談”という話だったのに、マスコミが小泉先生を待ち構えていたことです。都庁の担当者からは『小泉先生を乗せた車を地下2階の駐車場に止めて、人目につかないよう特別のエレベーターで案内します』と説明を受けていたのに、なぜかその地下駐車場にテレビ局が張り込んでいた。 『現場を撮影してください』と言わんばかりの対応で、おそらく小池代表がリークしたのでしょう。『原発ゼロで小池代表と小泉元首相が意気投合した』という“小池劇場”の話題づくりのために仕組まれたのは間違いありません」

何も知らず“小池劇場”に引っ張り出された小泉元首相

――マスコミ報道では、脱原発新党結成と「原発ゼロ」の公約化に向けて会談、まるで小泉元首相がバックについているかのように見えましたが。 A氏:「逆ですね。小泉先生との会談をすることが決まったので、新党結成・代表就任と同じ日にしたのでしょう。ただ別々に進んでいたことであっても、新党代表就任の直後に『原発ゼロ実現を訴えている小泉元首相と会って激励された』という事実は事実ですから。  15時半に都庁に行ったら小泉元首相から『さっき、小池さんが新党代表になると発表をして、原発ゼロという話をしていたから良かった』と言われました。小池代表との面談でも会うなり、『(新党結成・代表就任の)ニュースを見たよ。原発ゼロで新党結成、素晴らしいね。大賛成だ。それで行けばいい。頑張ってほしい』という話は確かにしていました」  こうして、安倍晋三首相が主役となるはずだった衆院解散会見の当日に、小池代表は“電波ジャック”に成功。もう一人の主役に躍り出た。その脚本は、まず「新党結成・代表就任・原発ゼロ表明」の都知事会見と、小泉元首相との“極秘会談”を同じ日に1時間程度ずらして設定。そしてテレビ局にリークして都庁入り場面を撮らせ、小泉元首相の激励コメントと一緒に放送してもらうことで「原発推進の安倍自民党」対「原発ゼロの小池野党連合」という対決の構図を国民に印象づけるというわけだ。  小泉元首相は何も知らされず“小池劇場”に引っ張り出され、「原発ゼロを掲げて安倍政権を倒そうとする新党代表=首相候補で、小泉元首相も応援している」と国民(視聴者)に印象づけるコメントを発した。しかし実際の会談の内容は、その印象とはまったく違うものだった。

会談の内容は「東京都と地方の、自然エネルギー拡大への連携」だった

希望の党結成集会

9月27日、「希望の党」の結成集会に集まった主要メンバーたち

――会談は、小池代表から「新党の目玉政策に原発ゼロを掲げたいから話を聞きたい」と言ってきたのでしょうか? それとも小泉元首相から依頼をしたのでしょうか。 A氏:「元自民党の原自連事務局長が『都民ファーストの会に自然エネルギー推進を申し入れよう』と提案したところ、『それはいいじゃないか』と小泉先生が賛同。『小池都知事に会えないか』という話になった。すると、先方から『小泉元首相が来るのならば知事と会える』と快諾していただき、会談が実現したのです。会談時間は約20分でした。  その目的は『原発ゼロ』と自然エネルギーの拡大で、会津電力代表取締役の佐藤彌右衛門さん(全国ご当地エネルギー協会会長)の持論を説明しました。 『例えば、会津には豊富な自然エネルギー資源があるから、“東京都が優先的に買う”という方針を出してもらえれば、地方と東京の連携ができて新たな経済成長戦略になる。会津だけではなく、ほかの地方も奮い立って日本中の自然エネルギーが拡大、これは東京都にとっても好都合でしょう』  こういった内容でした。  これに対して小池代表は『わかったわ』と賛同。『東京都もLED電球への取替えに取り組んでいるの。これからも応援をして』という話をされました。今後、自然エネルギー拡大で都と原自連が連携していけるような雰囲気になって別れたのです。  小泉先生は『フランスのオランド大統領が“2050年に原発ゼロにする”という方針をサルコジ大統領(当時)に対抗した時に出している。フランスだって原発ゼロの方向に舵を切ったのに、日本のマスコミはちゃんと報道しないよな』というような話をレクチャーして、小池代表が『そうなの』と頷くやりとりもありました」 ――希望の党の候補者を小泉元首相が応援するというような話は出たのですか。 A氏:「会談では出ませんでした。小泉先生は『もう政治活動はしない』と、決定的な一線は越えないということでやっていると思います。『原発ゼロを掲げることは大賛成』『頑張ってください』というエールを送ってはいましたが、それは政治活動(選挙応援)というよりも指南(助言)ですから」
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小泉元首相の主張とは異なる小池代表の「原発再稼働容認」
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ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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