「天真爛漫な南仏美人と清楚な日本美人、どちらを選べばいいのか?」――46歳のバツイチおじさんはヨガの総本山で煩悩にまみれた〈第38話〉
スタッフ「ミスターゴトー、ミスターゴトー」
食事が終わるとスタッフから名前を呼ばれた。これからお昼までの1時間、「カルマヨガ」と呼ばれるボランティアをしなければならない。
カルマとは古代インドの思想で因果応報のこと。カルマヨガとはヒンディーにおける人間の生き方そのもののことらしい。
俺は男子トイレ掃除担当を選んだ。修行をするのにトイレ掃除はベストだ。
俺「トイレーには~ それはそれはキレイな~女神様がいるんやで~♪」
鼻歌で『トイレの神様』を歌いのんきに掃除をしいると、同じくトイレ掃除担当の、朝寝坊した100キロ近くの太っちょインド人が話しかけてきた。 太っちょ「なんだその歌は?」 俺「日本の『トイレの神様』って歌だよ」 太っちょ「トイレの神様? 変な歌だな。どういうことだ?」 俺「日本には神道っていう宗教概念があって、いたるところに神様がいるのね。で、トイレには女神様がいて、綺麗にするといいことが起きるっていう歌だよ」 太っちょ「トイレに女神様? ははは。トイレに神様なんているわけないじゃん」 俺「いるんだよ。まぁ、お前にこんな繊細な感覚がわかるはずないけどな」 太っちょ「ブラザー、そんな冷たいこと言うなよ」 俺「わり~わり~。ヒンディーにも女神様はいるの?」 太っちょ「いるよ。パールバティーっていう女神さまは、シバの奥さんで素晴らしい方だよ。だけど、凄く怖くて厳しい人なんだ。一回シバに怒ってこの世を壊そうとしたんだよ」 俺「えーー。怖えーな~!」 太っちょ「インドの女は怖いってことだよ。気をつけろよ。日本の女はどうだ?」 俺「日本の女性は優しいに決まってるだろ。ただ、初めは優しいけど、後で死ぬほど怖くなるから気をつけろ!」 太っちょ「……」 俺「あ、お前には関係ないか。はは」 太っちょ「うるせーな。俺も日本女性には気をつけるよ」 俺「いや、お前には一切関係ない話だ。忘れてくれ。つーか、その前に痩せてくれ」 太っちょ「うるせー。俺、日本女性に気をつけよう」 俺「ははは。冗談だよ。まぁ、お互いに女の人を怒らせないように気をつけようぜ!」 太っちょは俺が尊敬するビートたけしさんの「冗談じゃないよ」のギャグのように、首を左右に動かしながら頷いた。それから、インド式の「左手を使ったトイレの使い方」をものスゴ~く丁寧に丁寧に教えてくれた。 「右手でカレー。左手でうんこか。間違えると大変なことになるな……」 トイレ掃除が終わるとすぐにお昼のプライベートレッスンが始まった。ここでは先生がマンツーマンでポーズを手取り足とり教えてくれる。ヨガ部屋に行くと大部分の人がヘッドスタンディングを練習していた。かつてバルカラビーチのヨガ教室で、るりちゃんが完璧なポーズを見せてくれたあれだ。 だがそこにるりちゃんの姿はなく、黙々と練習しているサワを見つけた。 サワ「おーー、ゴトーも来たんだ。ヘッドスタンディングの練習をするの?」 俺「いや、俺はまだそのレベルに達してないから。見よう見まねでゼロから練習するつもり」 サワ「おー、ゴトー、偉いね~」 おーー!褒められた。 ありがとうサワ。 でも、本当はるりちゃんにヨガアシュラムに来たことを褒められたかったのに。 同じ敷地内にいても、るりちゃんとの距離はまだ埋まる気配がない。 サワ「ゴトー、お願いがあるんだけど」 俺「何?」 サワ「私のヘッドスタンディングをスマホで撮ってくれない?」 俺「あ、いいけど」 サワ「サンキュー。今、どのくらいできてるか確かめたいの」 俺「オッケー!」 カメラを向けると、サワは体をぷるぷる震わせながらヘッドスタンディングを始めた。 惜しい。あと少しで成功できそう…。 何度も何度も挑戦するサワ。 途中からイギリス人女性の先生が補助をしてポーズを整えた。 サワ「はぁーはぁーはぁー。どうだった?」 俺「あと少し。頑張ればすぐだよ」 サワはにこりと笑った。 真っ赤になったサワの顔がとてもキュートだった。 「あれ……。なんかサワとの距離がどんどん縮まってる気がするな……」課題曲 その1 https://t.co/TBsiiuCsMU
— 後藤 隆一郎 (@ikirudakesa) 2017年4月28日
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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