ライフ

「天真爛漫な南仏美人と清楚な日本美人、どちらを選べばいいのか?」――46歳のバツイチおじさんはヨガの総本山で煩悩にまみれた〈第38話〉

ヨガ哲学の授業が終わると、すぐに夜ヨガの実技授業だ。その足で移動し、基礎クラスの授業を受けた。夜ヨガは朝ヨガよりも多少ポーズの数が増えるが、基本的にはシヴァナンダ・ヨガの基本ポーズである太陽礼拝の10個のポーズを丁寧にやることと、プラナヤマと呼ばれる呼吸法をきっちりやることは朝のクラスとさほど変わらなかった。ここでも滝の様な汗が出てTシャツがびっちょりとなった。 シャワーを浴び洗濯物を干すと、もう晩御飯の時間が少し過ぎていた。食堂に到着するとすでに食事が始まっていた。今晩もベジタブルカレー。ここでの1日2回の食事は毎日ベジタブルカレーらしい。だけど、カレーの種類が朝とは少し変わっていてどれもおいしかった。 食事が終わり、お皿を洗うと夜の瞑想までの間、1時間ほど休憩時間がある。慌ただしくハードな1日だったせいか、1時間の休憩が天国のように感じた。 アシュラムの夜はやはり気温が40度近いが、山の上にあるため風通しがよく、バルカラビーチに比べると少し涼しく感じた。俺はみんなの溜まり場となっている、100人近くの人がヨガをする大きなレッスン広場に向かった。するとそこに、一人でボーとしているるりちゃんがいた。 俺「るりちゃん、ここ涼しいね~」 るり「床が冷たくて気持ちいいですよね~」 るりちゃんの表情はヨガに集中してる時とは一変して、物凄く穏やかで優しい表情に変わっていた。

3回の実技授業が終わり一休みするるりちゃん。横に寝てるのはアシュラムのペット犬、シャンティー

俺「大変な1日だったよ」 るり「どうでした? 1日過ごして」 俺「くたくただよ。これからこの生活が続くんだね~。気が重いよ」 るり「ふふふふ。すぐに慣れちゃいますよ」 おー! るりちゃんが笑った!! バルカラビーチ以来の笑顔だ。 そうだ。 そうなんだ。 俺はこの笑顔を見たくてここに来たんだ! 俺「女子寮はどう?」 るり「結構、みんな下着姿でうろうろしてますよ」 俺「おーー! イイーねー」 るり「やらしいこと考えてるでしょ。ここで煩悩(ぼんのう)はダメですよ」 俺「ははは。確かに。ここで煩悩はご法度だよな。あ、カルマヨガは何やってる?俺は男子寮のトイレ掃除の担当になったよ」 るり「えーーそうなんですか?私も女子寮のトイレ掃除担当ですよ」 俺「えーーー! 奇遇だね~。トイレ掃除がかぶったね」 るり「ふふふ~」 ♪~トイレーには~ それはそれはキレイな~ 女神様がいるんやで   だから毎日 キレイにしたら 女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで いた。 ここにいた。 女神様みたいなべっぴんな神様がいた。 そうか! トイレの女神様はるりちゃんだったのか! そう、カルマとは因果応報のこと。 良い行い(カルマ)をすれば良い結果がもたらされる。 カルマヨガの効果が速攻で現れたようだ。 それから1時間ほど、るりちゃんと他愛のない会話で盛り上がった。 初恋のとき、放課後の教室に感じた綿菓子のようなふわふわとした甘い匂いがした。 その後、二人で夜8時~10時に行われる瞑想に行った。 瞑想が終わると、サットサンガと呼ばれるヒンディーの神様に捧げる歌を10曲ほど歌った。 るり「ごっつさん、おやすみなさい。明日も頑張りましょう!」 俺「うん、頑張ろう!おやすみ~」 夜10時。消灯の時間となり、るりちゃんは女子寮に帰って行った。 夜空を見上げると満天の星が輝いていた。 「るりちゃん…。俺、頑張るよ」 俺は年甲斐もなく夜空にそう誓い、眠りについた。
次のページ right-delta
翌朝、るりちゃんを見つけ、目で挨拶
1
2
3
4
5
6
おすすめ記事