60万匹のゴキブリを育てたプロが語る「やっぱりコワい!ゴキブリの生態」――家のなかへの侵入を防ぐことは難しい
では、ゴキブリに好きな食べ物はあるのだろうか。それがわかれば、その食べ物の処分にはより一層、気を付けようと思えるのだが……。
「好んで食べるというより、なんでも食べますよ。食べカス、壁紙や本の表紙、仲間の死骸や糞、人間の髪の毛など、あらゆるものを食べる雑食性。電気コードをかじってショートの原因になるぐらいです。それで『美味しい』と感じているのかどうかは、ゴキブリ本人に聞いてみないとわかりませんが(笑)」
ゴキブリが出現したとき、叩こうと思っても素早くカサカサと逃げてしまう。じつは、視野もすごいのでは?
「じつは、ゴキブリの目はほとんど見えていないんです。ただ、これも触角が優れているので、少しの振動なども感じとる。ゴキブリは足の瞬発力や反射神経が高いことから、逃げられてしまうのでしょう」
そんなゴキブリだが、一方で、じつは良いことをしているなどはあるのか?
「ないですね。ゴキブリは病原菌を運ぶということがいちばん厄介な部分。アレルギーの原因にもなります。もしかすると、生態系にとっては良いこともあるのかもしれませんが、人間にとってはないと思います」
ゴキブリの害
・病原菌の運搬(サルモネラ菌、赤痢菌、小児麻痺ウイルスなど)
・糞、死骸などがアレルゲンになる
・見た目、突然の出没、不潔さなどによる不快感
・食品や書籍、電気系統の食害(ショートさせる)
参考:『害虫と殺虫剤の基礎知識』(アース製薬株式会社)
いつの間にやら家のなかに侵入し、私たちを驚かせるゴキブリ。果たして、どこからやってくるのか。
「ゴキブリは、カラダが薄い。つまり、外と家のなかで数ミリぐらいの隙間があれば、どこからでも入ってきますよ。通気口や換気扇、網戸、配水管……。よっぽどキッチリ密閉されていないと。ただ、現実的には完全に侵入を防ぐということは難しいですよね」
なんとも恐ろしい話だが……。では、一戸建てやアパート、マンションなど、住居ごとに違いはあるのか。
「ゴキブリは外でも生活できますが、家のなかのほうが快適なんですよね。たとえば、一戸建てだったら。新築だったとしてもたくさん家が建ち並んでいるエリアだったり、近くに飲食店があったり、ゴミ捨て場があったり、そういった場所だったら入ってきやすいですよね。マンションやアパートだったら、新築なら比較的いないと思いますが、古いところならもう、そのなかのひと部屋でもゴキブリがいれば、移動能力があるので、ほかの部屋にも移っていきますよね」
ビルの上のほうの階に住んでいれば、ゴキブリは来ない、という噂もあるが。
「いきなり飛んでいくことは出来ないので、確率論としては減りますが、ゴキブリはビルの何階でものぼっていきますよ」
ここでひとつの疑問が……飛ぶのではなく、のぼるとは!?
「ゴキブリは下から上に飛ぶことって、ほとんど出来ないんですよ。滑空、いわゆるグライダー飛行しか出来ない。ですので、いきなり10階には行けません。あくまで、壁伝いにのぼっていくんです。1階に入ってしまったら、2階、3階……あとはゴキブリがのぼっていきたいかどうかですけど」
つまり、同じ建物のなかでひとつでも不潔な部屋があれば、ゴキブリは増えていき、どこにでも出現する可能性がある。こうしたゴキブリの“負の連鎖”も起こりうるのだ!
そんなやっぱりコワいゴキブリの生態。では、いよいよ気になる対策方法について詳しくは後編(ネットに書かれているまとめ記事の対策方法も検証)で!
<取材・文/藤井敦年>明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
ゴキブリの侵入経路はどこからやってくる?
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